第616回札幌交響楽団定期演奏会

2019年2月15日(金)第616回札幌交響楽団定期演奏会を聴いてきた。指揮は広上淳一、ピアノはジャン=エフラム・バヴゼ、曲目は 道化師の朝の歌、ピアノ協奏曲、古風なメヌエット、左手のためのピアノ協奏曲、ラ・ヴァルス、アンコールは道化師の朝の歌のピアノ版だった。

 札響もソリストのバヴゼもとにかく素晴らしかった。どの曲も本当に引き込まれていくような演奏だった。

 ラヴェルで忘れられない演奏が私には二回ある。一つは1995年にウィーンのムジークフェラインで聴いたメータ指揮ウィーン・フィルと2004年にKitaraで聴いたラトル指揮ベルリン・フィルで曲はどちらもダフニスとクロエ第2組曲だった。ウィーン・フィルのコンサートは前半がモーツァルト交響曲第38番とフルート協奏曲だった。立見席でしか聴けなかったけどあまりぱっとしない印象だった。それが後半のドビュッシー夜想曲とダフニスでは別のオーケストラかと思うような一体となった響きに圧倒された。オーケストラがあたかも一つの楽器のように鳴り響いたのである。それまで札幌でも何度か海外のオーケストラは聴いていたけどそんな響きは聴いたことがなかった。04年のベルリン・フィルは前半は現代曲で後半はドビュッシーの海とダフニスだった。この時はかなり前の席だったのでダフニスの夜明けの場面は圧倒的な音量だった。

 この日の札響の演奏を聴く前にあの時のウィーン・フィルベルリン・フィルの響きを思い出していた。演奏が始まるとすっかり札響の音に引き込まれウィーン・フィルベルリン・フィルの響きのことなんてすっかり忘れていた。ソリストも素晴らしかった。演奏を聴き終え、以前(何十年も前)はよく外国の一流オーケストラと比較して札響はあそこが足りないここが足りないということをいつも感じていた。もう札響は一流オーケストラの音に引けをとらない音をすでに出しているのだろう。一昨年のシェヘラザードや昨年のアルプス交響曲はそうだった。逆に来札する外国のオーケストラに物足りなさを感じるようになった。札響はそんなレベルに到達しているということなのだろう。