令和元年(2019年)8月23日、第621回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。指揮は常任指揮者のマティアス・バーメルト。プログラムは武満徹「死と再生」~映画「黒い雨」より、ブラームス ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、ブラームス(シェーンベルク編曲)ピアノ四重奏曲第1番(管弦楽団)、ヴァイオリン独奏は郷古廉、チェロ独奏は横坂源だった。
久しぶりに札響定期を聴く感じがする。7月にはPMF、ミューザ川崎でのフェスタサマーミューザ、hitaruでのオペラなど、前回6月の札響定期との間にいろいろなコンサートを聴いた所為だろう。
「死と再生」は弦5部の14型の演奏だった。バーメルトは日本人作曲家の曲を積極的に取り上げている。久しぶりに札響の弦を聴くと落ち着く感じがした。
「二重協奏曲」はヴァイオリンの郷古さんとチェロの横坂さんの掛け合いが面白かった。ヴァイオリンが先走るのをチェロが少し押さえるというのではなく、チェロが尖った方向に行こうとするのをヴァイオリンが押さえるような感じに聞こえた。郷古さんのヴァイオリンは7月のPMFガラコンサートでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いているのが、その時よりも音が冴えていた。安定感が持ち味という印象がある。チェロの横坂さんもこれからいろいろと演奏を聴いてみたくなる演奏家だ。
後半はピアノ四重奏曲(管弦楽版)。45分もあるのだから、ブラームスの交響曲第5番のように扱ってもっと演奏されても良いのではないかと思った。シェーンベルク編曲なのでブラームスの交響曲とは違った響きがあるが、根幹はブラームスである。難しいリズムやアンサンブルもあったと思うが、札響の演奏はとても良く聴かせてくれた。10月にはNHKのテレビで放送され、バーメルトさんのインタビューもおそらくあると思うので楽しみにしたい。