森の響きフレンドコンサート 札響名曲シリーズ2019-2020

 令和元年(2019年)9月7日(土)、札幌コンサートホールKitaraに札響名曲シリーズを聴きに行ってきた。指揮は鈴木秀美、プログラムはC・P・Eバッハ シンフォニアハイドン交響曲第104番「ロンドン」、ドヴォルザーク交響曲第8番だった。

 名曲シリーズは年5回ほど開催されるが、毎年マメに聴いているわけではない。年間のプログラムを見て聴きに行くかどうかを決めている。昨年はほとんど聴いていないが、一昨年は毎回聴いていた。今年は10月の名曲シリーズが聴きたくて、5枚綴りのシーズン券を買った。4月と6月の演奏もとても充実した内容の演奏だった。

シンフォニアは10型の弦5部とチェンパロによる演奏で対向配置である。シンフォニアとはもともと器楽だけの曲をさし、それが交響曲(シンフォニー)の語源ともなっている。構成は急-緩-急の3楽章である。後に4楽章構成となるのは第3楽章に3拍子の舞曲で当時流行していたメヌエットを演奏するようになったためである。このシンフォニアの後、鈴木氏の解説があった。今回のプログラムは交響曲の変遷を辿れるようにしているらしい。

 交響曲第104番はハイドンの最後の交響曲である。ハイドンを生演奏で聴く機会は本当に少なくなった。札響は創立20周年の昭和56年(1981年)9月から必ずハイドン交響曲が協奏曲を取り上げるハイドン・シリーズを翌昭和57年(1982年)11月まで続けていたことがある。このときは厚生年金会館だったが何度か聴いたことがある。このホールではハイドンモーツァルトのような編成が小さい曲には不利であまりいい記憶はない。この日の演奏は14型で通常の編成だった。こんなに躍動的で聴き応えのあるハイドン交響曲を聴いたのは初めてかもしれない。ハイドン交響曲ベートーヴェンのように誰でも録音しているというわけでもないのでレコードも少ない。名演といわれていても「古典派」という形式に縛られた当たり障りのない演奏もあるが、これだけの演奏なら録音でも何度も聴きたくなるだろう。

 ドヴォルザーク交響曲第8番は7月にPMFオーケストラの演奏をhitaruで聴いている。その時も結構よかったと思っていたが、この日の札響の演奏の方が表現力は数段上だった。9月1日にエリシュカさんの訃報を知ってから初のドヴォルザークということと、昨年の地震で中止になった公演の再演ということもあり、特別なコンサートになったようだ。冒頭から曲の中に引っ張り込まれた。各管楽器奏者もよかった。普通のホールでは聞こえないようなコントラバスのピツィカートやファゴットの音まで聞こえるのはKitaraの音響の良さだ。

 札響とドヴォルザーク交響曲第8番というと、昭和57年(1982年)4月に発売された「札幌交響楽団1961-1981」(北海道新聞社刊)の表紙が尾高忠明指揮のドヴォルザーク交響曲第8番の演奏風景だった。昭和56年(1981年)10月19日、場所は厚生年金会館(後のニトリ文化ホール)で開催された第219回定期演奏会である。尾高さんが札響の正指揮者になって最初の定期演奏会だった。それを版画家の渡会純价氏が「orchestra」という版画にしてものが使用されている。これがその写真。

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