ケルン放送交響楽団

 

 11月28日、マレク・ヤノフスキ指揮ケルン放送交響楽団札幌コンサートホールKitaraで聴いてきた。プログラムはベートーヴェン交響曲第7番、シューベルト交響曲第8番「ザ・グレイト」だった。編成は16型。

 ハイドンモーツァルトだけではなくベートーヴェンも近年は編成を小さくした演奏が多くなった。昨年のハーディング指揮パリ管弦楽団の演奏会で、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」の演奏ではコントラバスが4本の12型だったが、この演奏会では16型の編成でベートーヴェンシューベルトの聴き慣れた名曲が聴けた。ベートーヴェンシューベルトもどちらも昔からの名演がたくさんある。それをドイツの名門オーケストラがどのように演奏するかに興味があった。

 聴いたのはLA席でステージの前側の横の方。交響曲第7番ではやや速めのテンポで始まり弦の厚い響きが印象的。しかし、曲の流れを追いながら注意深く聴いているとヴィオラコントラバスが人数の割には聞こえてこないとか、管楽器も今ひとつ冴えた音色で響いてこないのが気になった。弦のアンサンブルもやや雑に感じたところもあった。特に不足しているわけではないが、淡々と進んでいく感じがした。

 

 シューベルト交響曲第8番「ザ・グレイト」にはフルトヴェングラーカール・ベームの名演があり、それらには時折、背中がゾクッとするような箇所がある。ピアニッシモから次第に盛り上がるクレッシェンドとか、天空を舞うような美しい旋律の調べとか、畳みかけるようなアレグロなどだ。ドイツの名門オーケストラとなればそれを期待したかったが、そういう箇所は残念ながらなかった。弦楽器の大編成のゆえか管楽器も今ひとつ冴えなかった。

 

 どうしても期待(値段も含めて)が大き過ぎたのか物足りなさが残る演奏になってしまった。それでも10月のライプツィヒの「ロマン的な」解釈の演奏と今回のケルン放送による弦楽器の大編成による演奏は、近年のベートーヴェン演奏とは違う方向性を見せてくれたことが収穫だった。