８０年代の後半ぐらいからヴィジュアル(映像)がセットになりＡ＆Ｖ(ＡＶが一般的だが誤解を受けかねないのでここではＡ＆Ｖとする)という呼び方が出てきた。きっかけはおそらくＬＤ（レーザーディスク）の登場とＢＳ放送の始まりからだと思う。
オペラの公演が今ほど身近ではなかった頃、映像でオペラや世界の一流の演奏家が演奏している姿を観るというのは貴重だったし、新鮮だった。ソフトの値段は高かったが、映像にはそれだけの魅力があった。
ＬＤは３０㎝の巨大な円盤を高速で回転させるため、初期の頃のプレーヤーの筐体は振動するし騒音はするなど製品として完成度が高いとは言いがたかった。パイオニアやヤマハが力を入れていたように記憶しているが、次第にパイオニアの一人勝ちという状態になった。
ＬＤに対してビクターがＶＨＤという製品を出した。ＬＤは非接触型でありレーザーで読み取るが、ＶＨＤは接触型で読み取るので何度もかけると雑音が出てきた。薄いケースに入っていてそれをケースごと押し込み、出すときもケースごと抜き取るというものだった。カラオケのおかげもあってか結局ＬＤが普及することとなった。
ＬＤは片面の収録時間が１時間ぐらいしかないがＣＤと違って両面再生ができた。１時間でレコードのようにひっくり返さなくてはならないが、ピックアップが上から下に移動する両面再生のプレーヤーも出てきた。私はその両面再生のプレーヤーをデジタル出力からＣＤプレーヤーのデジタル入力に接続して視聴していた。
ＢＳ放送では、音楽番組がＣＤよりもスペックが高い４８ＫＨｚで放送されることがあった。それを単体のＢＳチューナーからやはりＣＤプレーヤーのＤＡＣに接続して聴いていた。たまにコンサートやオペラが放送されるとそれを録画しようとビクターの最高級ＶＨＳデッキを買って録画していた。
映像も最初は２８インチのブラウン管テレビだったが、その後液晶プロジェクターと６０インチのスクリーンにした。三管式のプロジェクターもあったが値段が高く調整も面倒な上に筐体が部屋の中に入れるには大きすぎた。
これで両面再生のＬＤプレーヤー、ＢＳチューナー、ＶＨＳデッキ、液晶プロジェクターとスクリーン、そして音声はＤＡＣからアンプにという２チャンネルとしてはできる限りのことをしていた。９０年代の初め頃は、まだオペラも海外の有名オーケストラのコンサートも今ほど身近ではなかったので、ＬＤやＢＳの映像はとても貴重だった。それらを観るためにオットマン付きのチェアも買った。
しかし、これも長くは続かなかった。液晶プロジェクターは光源からかなりの熱を発するため空冷のファンの音も大きかった。夏に部屋を閉め切ってカーテンをして部屋を暗くしてスクリーンで観るというのはかなりの覚悟が必要だった。映像を見ながら音を聴いていればそれほど気にならないという方もいたが、狭い部屋ではやはり雑音でしかなかった。いちいちスクリーンを下ろして調整をしてというのがだんだん煩わしくなってきた。そして、５年ぐらいで飽きてしまい、１０年ぐらい経ったとき、ビクターのＶＨＳビデオデッキのヘッドが故障したことをきっかけにしてヴィジュアルはオーディオシステムと切り離してしまった。ＢＳチューナー、ＬＤプレーヤー、液晶プロジェクターは押し入れにしまい、ヘッドが故障したビデオデッキは処分した。
２８インチテレビも写らなくなったので新しく買ったのはＶＨＳとＤＶＤが付いた２０インチのテレビだった。極端から極端に振れた感じだった。
今から１０年ぐらい前、薄型テレビがようやく手が届く値段になってきたので４２インチのプラズマテレビにし、ＢＤレコーダーも買った。また薄型テレビには中に大きなスピーカーが設置できないので数年後にオーディオボードも追加した。
そして、今年の暮れに４K液晶テレビと４Kレコーダーに換えた。液晶テレビとレコーダー間にオーディオボードを入れると画質が少し落ちることに気付いたため、オーディオボード外した。
１０年前の薄型テレビは画面の縁が５㎝ぐらいあったが今のテレビは１㎝ぐらいなので一回り大きいサイズのテレビが設置できる。そこで大きさは４９インチにした。有機ＥＬにしたかったけど５５インチは大きすぎて置けなかった。
４Ｋ液晶テレビも各メーカーを見て回ったが、画質はどのメーカーもそれほど変わらないが、どうせ買うなら各メーカーの一番上のモデルを買った方が良いと思った。店頭で観てもはっきりと画質の違いがわかる。
レコーダーも前に使用していたレコーダーと比較してＢＤの操作が速くなり、使い勝手が良くなった。画質も良くなっているのでレンタルビデオ店でもＢＤを借りることが多くなった。ＢＤとＤＶＤでは画質が結構違うので映画を観ていても迫力があって面白い。
映画を楽しめるようになったのが今回４Ｋ液晶テレビとＢＤレコーダーを新しくした収穫だった。
