東京交響楽団 第76回川崎定期演奏会 

 指揮は飯守泰次郎、ピアノ独奏は田部京子

プログラムは 

ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲 op.43

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調op.37

メンデルスゾーン交響曲 第3番 イ短調 op.56「スコットランド」 

 

久しぶりに観客が入る生演奏の映像を見た。パソコンからUSBケーブルでCDプレーヤーのDACに入れてオーディオシステムで聴いた。音ははっきりとステレオになっていて左からヴァイオリン、真ん中から管楽器とピアノ、右側から低弦が聞こえてくる。昨年、ミューザ川崎で観客席から聴いた音よりは楽器の分離がはっきりしていた。音が溶け合うような感じで反射音が多くなるのはこのホールの特徴だろう。

 

 プロメテウスはどうどうした正統派のベートーヴェンだった。久しぶりの演奏会なので少しは奇を衒うようなところがあるのではとも思ったがそういうところはなかった。

 ピアノ協奏曲第3番も同様で、田部京子さんのピアノは骨格がしっかりとしていて音符一つ一つをはっきりと演奏していく。

 スコットランドも感情に流されることなく一つ一つのフレーズをじっくりと確かめるように進んでいく。

 

観客入りのコンサートが再開されたと言っても、指揮者もソリストも弦楽器奏者も聴衆も全員マスクをしているし、聴衆も1席置きにしか座っていない。まだまだ以前の日常が戻ってきたわけではない。

ようやくコンサートが再開されたので喜びを発散させる様な演奏になるかと予想していた。しかし、そのような感情はマスクの中にでもしまっておくかのような雰囲気だった。むしろ、こんな中でも演奏家全員で一つになって演奏をするという強い意志を感じた。