第630回札幌交響楽団定期演奏会

 令和2年(2020年)9月25日、第630回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。再開後、初の定期演奏会だった。前回、聴いた定期演奏会は1月の第626回だったので3回の定期演奏会が中止になった。

 当初の指揮とプログラムは、首席指揮者マティアス・バーメルトとドイツ・レクイエムのはずがたったが、バーメルトは来日がかなわず、合唱団が練習できないため、指揮は広上淳一、ピアノ伊藤恵に変更になり、プログラムもシューベルト:ロザムンデ序曲、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲シューベルト交響曲第5番に変更になった。編成は管楽器のための交響曲を除き、12型の編成。

 

 ロザムンデ序曲は、拍子や強弱の変化が特徴的な曲だが、広上さんの指揮と札響の演奏はそれをよく引き出していて、期待を裏切らなかった。

 ピアノ協奏曲第2番は冒頭から歯切れの良い和音が響く。第1、第3楽章の快活さと叙情的な第2楽章という感じで、ピアノの澄んだ響きが印象的だった。アンコールは「エリーゼのために」。聴き慣れた曲が当たり前に聴ける喜びを再発見した。

 管楽器のための協奏曲は、通常の演奏会では聴けないような、はずれた音をところどころに入れた曲。金管楽器もミュートを駆使して忙しそうだった。

 交響曲第5番は、3年前にエリシュカ指揮で聴いている。その時の演奏はCDにもなっているので予め聴いてきた。シューベルト交響曲第5番は演奏会前半にプログラムが組まれることが多いが、今回はメインプログラムとなっている。エリシュカの演奏もよかったが、プログラムの最後に演奏された今回はより響きに厚みが出ていた。

 定期演奏会の再開について広上さんからの感謝と今後の決意が話された後、アンコールに第2楽章が演奏された。

 今回のプログラムは当初はドイツ・レクイエムという大曲だったが、比較的編成が小さいプログラムに変更されたが、大曲に劣らない中身の濃い演奏会だった。

 また、終演後に広上さんが、「Kitaraは世界で五本の指に入る音がいいホールで、札響は世界でもAクラスのオーケストラ」という趣旨の話をされていた。これは自分の耳で確かめたい。もしかしたら社交辞令でどこでもしている話かもしれないが、他のオーケストラに増して札響だけに優秀な楽団員が入団してきているとは考えにくいし、世界中にもいい音のホールはたくさんあるはずだ。ホールは世界中聴き廻るわけには行かないけどオーケストラについてはいろいろと聴ける。