札響名曲シリーズ 2020 「めくるめく夢幻∞ワルツ」 6月20日振替公演 

 令和2年(2020年)9月30日、札幌コンサートホールKitaraで札幌名曲シリーズを聴いてきた。指揮は当初、マティアス・バーメルトだったが、コロナ禍の中で来日できないため東京シティ・フィル常任指揮者の高関健に変更になった。オーボエは札響首席の関美矢子、トランペットは札響副主席の鶴田麻記だった。

 再開後、初めて当初の指定席で聴くことができ、隣席にも人がいた。客席がいいのならステージ上も間隔を取る必要もなくなり、大編成の曲が演奏出来るようになる日も近いかもしれない。

 プログラムも当初はワルツばかりで編成が大きな曲もあったが、モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲、オーボエ協奏曲ハ長調K314、ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調ヨハン・シュトラウスⅡ 喜歌劇「ジプシー男爵」序曲、ワルツ「南国のバラ」、「皇帝円舞曲」というプログラムになった。弦楽器の編成はトランペット協奏曲までが、10型、後半途中のヨハン・シュトラウスの曲から12型となった。どちらも第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンがステージの両側に配置される対抗配置だった。 

 

 1曲目は「フィガロの結婚」序曲。フィガロに限らずモーツァルト管弦楽曲はレコードで聴くときは良くても、実演で聴くと平板に聞こえることが多い。大ホールでは編成が小さくなると強弱の差がよく分からなくなるためだと思う。この日も10型で編成が小さかったが曲が始まったときにその不安は払拭された。軽快で強弱がはっきりしているこの曲の特長がよく表現されていた。

 2曲目はモーツァルト オーボエ協奏曲。オーボエは札響首席の関美矢子さんで9月16日にリサイタルを聴いているし、昨年のポップスコンサートではスターダストのソロも聴いている。安定した冴え渡る響きが印象的だった。

 

 休憩後の3曲目はハイドン トランペット協奏曲。トランペットは札響副首席の鶴田麻記さんで昨年のポップスコンサートでムーンリバーを聴いている。この時は少し緊張気味であまり調子がよくないのかなという感じがあった。今回のトランペット協奏曲はとても冴え渡る響きでとても良い演奏だった。

 4、5、6曲目はヨハン・シュトラウスⅡの曲が続く。4曲目は喜歌劇「ジプシー男爵」序曲、5曲目はワルツ「南国のバラ」、6曲目は「皇帝円舞曲」。有名なウィーン・フィルニューイヤーコンサートでもよくかかる定番の曲だ。出過ぎることも足りないこともなく定番の曲が聴き慣れたとおり楽しんで聴くことができた。次のここはこうして欲しい、ああして欲しいという期待どおりに演奏されていた。それはアンコールのトリッチ・トラッチ・ポルカラデツキー行進曲でも同じだった。会場の拍手も一体となっていた。