読売日本交響楽団 第123回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

 令和2年(2020年)11月23日、横浜みなとみらいホール読売日本交響楽団 第123回みなとみらいホリデー名曲シリーズを聴いてきた。

 指揮はクリエイティブ・パートナーの鈴木優人、ギターは村治佳織だった。

プログラムはベートーヴェン 序曲「レオノーレ」第3番、ロドリーゴ ある貴紳のための幻想曲、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」だった。座席は1階17列右通路側。前回の神奈川フィルとの比較をしやすくするためできるだけ近い座席を選んだ。

読響を聴くのは今回が初めてで、数年前にKitaraでコンサートがあったが直ぐに売り切れてしまった。

 1曲目はレオノーレ第3番。編成は10-10-8-6-4。冒頭から音色が統一された弦の響きと木管の輝かしい音色が際立つ。それに加えて金管ティンパニが突然勢いよく入ってくる。細かい微妙な表現よりは勢いを優先させている感じだった。これはこのオーケストラの演奏スタイルなのだろうか。

 2曲目はある貴紳のための幻想曲。村治さんのギターを聴くのも初めてで、札幌でも何度か演奏会があったと思うが聴く機会がなかった。ギターはマイクがセッティングされての演奏。編成は6-6-4-2-2だった。小さい編成の方が各セクションの音が良く聞こえる。アンコールは「アルハンブラ宮殿の思い出」。とても繊細でやわらかい演奏が聴けた。

 3曲目は「運命」。編成は10-10-8-6-4。小さい音の表現はあまり良くない感じがする。ここでもホルンが突然出てくる。ピアニッシモで表現しきれない分、フォルテッシモでカバーしている印象がある。弦と管が同時に出てくる箇所では一方しかよく聴き取れない。

ホルンを勢いよく鳴らすのはいいが、勢いよく鳴らすならそれなりの意図とか狙いがあるはずだ。例えば第3楽章19小節目でもホルンのフォルテッシモがあるが、内面的な叫びとか葛藤のようなものであれば、その後の第4楽章の勝利の意味がわかる、というように演奏には何らかの狙いなり意図なりがあるはずだ。ましてベートーヴェンの5番である。そのような狙いが聴いていて伝わってこなかった。ところどころで突然勢いよく入ってくる金管ばかりが目立つ演奏だった。

 読響の特色は弦の音色が統一されていることという感じがした。指揮者やホールが変わるとまた違う響きになるのかもしれない。