札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第5回

 令和3年(2021年)4月14日札幌文化芸術劇場hitaruで第5回新・定期演奏会を聴いてきた。

 プログラムはペルト「カントゥス~ベンジャミン・ブリテンの思い出に」、ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、シベリウス交響曲第2番」だった。指揮は高関健、ヴァイオリンは竹澤恭子だった。

 当初は指揮とピアノにオリ・ムストネンが予定されていて前半のプログラムもラウタヴァーラ「フランツ・リストへのオマージュ」とベートーヴェン「ピアノ協奏曲(ヴァイオリン協奏曲の編曲版)」が予定されていた。それで来日が叶わず指揮者と出演者と曲目が変更になった。

 

 1曲目は「カントゥス」。14型の編成で対抗配置。「ティンティナブリ(鈴鳴らし)様式」というらしい。限定された和音とピアニッシモによる静謐な響きとカノンのように重なり合うシンプルな構造で、各声部は数的比例に基づいて持続が異なり、同じ和音であっても音楽の様相は規則的に変化する、とパンフレットには書かれている。「ベンジャミン・ブリテンの思い出」という副題があるが、鐘の音が純粋さを弦が厳しさを表しているかのようだ。

 

 2曲目はベートーヴェンヴァイオリン協奏曲。竹澤さんのヴァイオリンは流石というほかなく期待通りの演奏。低音をゴリゴリ響かせるところはベートーヴェンらしい。第1楽章の雄大なスケール、第2楽章の叙情的な表現、第3楽章でのオーケストラとの掛け合いと低弦と高弦の弾き分けも見事だった。

 アンコールはバッハ/無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番 BWV1004 サラバンドだった。

 

 3曲目はシベリウス交響曲第2番。札響や他のオーケストラでも何度か聴いている。最近札響で聴いたのは2014年尾高忠明指揮のシベリウスツィクルスの時でこの演奏はSACDになっている。

同じようなフレーズが何度も出てくるが楽器の構成による響きの違いを注意深く描き分けるように演奏していた。かつて東京から北海道に移住してきた方から、以前はシベリウスなんて聴かなかったが北海道に来てから聴くようになったという話しを聞いたことがある。一つの楽器のフレーズを大雪原の寒々とした透明感のある冷たい響きで奏でられるのは札響ならではだと思う。