札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第6回

 令和3年(2021年)6月4日札幌文化芸術劇場hitaruで第6回新・定期演奏会を聴いてきた。

 プログラムは武満徹:海へⅡ~アルト・フルート、ハープ、弦楽オーケストラのための、メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」、ベートーヴェン交響曲第7番だった。

 指揮は尾高忠明、アルト・フルートは元札響首席フルート奏者の高橋聖純、ハープは高野麗音だった。

当初は指揮とヴァイオリンにウィーン・フィルコンサートマスターであるヴォルクハルト・シュトイデだったが、入国が間に合わず曲目と出演者が変更になった。

 当初のプログラムはジョン・ウィリアムズ:「シンドラーのリスト」よりヴァイオリンとオーケストラのための3つの小品、メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲、メンデルスゾーン交響曲第4番が予定されていた。

 

 1曲目は「海へⅡ」。編成は6-6-4-4-2の弦楽器のみ。普段はなかなか聴く機会のないアルト・フルートの低音とハープの音色が海の情景を描いると思っていたが、解説には鯨が泳いでいる様子を音楽で表しているということのようだ。

 この曲を札響が初演した演奏が近いうちにCDで発売されるらしい。「札幌交響楽団50年史」によると1982年6月27日に「武満徹世界初演曲 札響特別演奏会」で場所は札幌市民会館、主催は札幌の月刊誌「ろんだん」とある。作曲した武満徹はリハーサルにも密着し、本番のステージではトークも受け持った、とある。9月に開局を予定していたFM北海道が収録し全国放送もされたそうだ。

 

 2曲目は「イタリア」。編成は12-10-8-7-6。指揮者の尾高忠明さんはテンポを速めにとり颯爽とした演奏をする指揮者という印象がある。作曲家のメンデルスゾーンもそのような指揮法を唱えていたらしい。イタリアはそういう尾高さんにぴったりの曲だと思っていたので、今回もそのような演奏になると予想していた。しかし、演奏が始まると予想とは違い、テンポは中庸でオーケストラを厚く響かせるような演奏だった。

 

 3曲目は交響曲第7番。編成はイタリアと同じく12-10-8-7-6。尾高さんの第7番は10年前のベートーヴェンツィクルス以来だと思う。SACDでも発売されているがテンポを速めにとり颯爽とした演奏という印象だった。それがその前のイタリアと同じように響きが厚くよりダイナミックな演奏だった。第4楽章の後半でもオーケストラを目一杯鳴らしていたが、尾高さんはよくも悪くもそういう演奏はしない指揮者だと思っていたが今までの印象とは違っていた。

 

 今年は3月の定期演奏会で尾高さんが指揮した「ダフニスとクロエ」第2組曲でも夜明けでオーケストラを目一杯鳴らす素晴らしい響きを引き出していたが、この頃から少し変わってきたのだろうか。7月に尾高さんの指揮で定期演奏会があるのでその時も楽しみにしたい。