令和3年(2021年)11月12日、Kitaraの専属オルガニスト ニコラ・プロカッチーニさんのデビューリサイタルを聴いてきた。
Kitaraでは開館以来、毎年、9月に新しい専属オルガニストが就任して翌年8月のフェアウェルコンサート後に退任というのが通例となっている。昨年度は11月から今年の6月まで改修工事をしていたので初めて専属オルガニストが就任しない年度となった。専属オルガニストによるオルガンコンサートは昨年の8月以来。
改修工事に伴いパイプオルガンも設置されてから初めてのオーバーホールを行っている。Kitara大ホールも天井の補強工事が施されパイプオルガンの響きがどう聞こえるかも興味があった。
プログラムは次の通り。
・J・S・バッハ:トッカータ、アダージョとフーガハ長調 BWV564
・クープラン:「修道院のためのミサ」より聖体奉拳(ティエルス・アン・タイユ)
・ヴィヴァルディ/J・S・バッハ編曲:オルガン協奏曲ニ短調 BWV596
・フランク:大オルガンのための6つの小品より 前奏曲、フーガと変奏曲ロ短調作品18
・J・アラン:3つの舞曲JA120A/120bis
喜び
悲しみ
戦い
アンコールはJ・S・バッハ:オルガンのためのトリオ・ソナタ第4番 ホ短調 BWV528よりアンダンテだった。
11月8日の北海道新聞夕刊にプロカッチーニさんのインタビュー記事が掲載されていた。招請に応じたのは1年間集中してオルガンを修めながら、欧州のオルガン文化を日本に伝えるためと語っていた。この日のプログラムについては「自己紹介の意味を込めた」ということらしく、前半がバロックの大家の3曲、後半は近現代フランスを代表する3曲を選んだようだ。演奏は一音一音が明瞭でピアニッシモからフォルテッシモまでオルガンの音色を十分に生かしたものだった。
Kitaraのパイプオルガンは第1鍵盤のグラントルグ、第2鍵盤のポジティフ、第3鍵盤のレシ、水平トランペットの形をした第4鍵盤のシャマード、最低音のペダル(足鍵盤)にそれぞれ分れている。Kitaraのパイプオルガンは、ポジティフを通常レシがくる最上階に配置していることが特徴らしい。
改修前のオルガンの音は全体的にふわっと広がるような響きだったが、改修後は各音源ブロックの音の分離が良くなりハーモニーをはっきりと聞き取れるようになった。
オーケストラを聴いても分離が良くなっているのでオーバーホールの効果だけではなく天井の補強も音響が良くなっていることに貢献しているのだと思う。