第631回札幌交響楽団定期演奏会

 令和2年(2020年)10月23日、第631回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 当初の指揮とプログラムは、ドミトリ・シトコヴェツキー(指揮とヴァイオリン)によるバッハ ゴルトベルク変奏曲(シトコヴェツキー編弦楽合奏版)とプロコフィエフ「シンデレラ」組曲だったが、コロナ禍で来日が叶わず、指揮は飯守泰次郎に変更になりプログラムもウェーバー歌劇「オベロン」序曲、ブルッフスコットランド幻想曲」、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」となった。しかし、直前になって飯守泰次郎氏が「急性胆嚢炎」のため指揮者が山下一史に変更になった。ヴァイオリンは青木尚佳。本人のツイッターによるとミュンヘンフィルのコンマスオーディションに合格したらしい。編成は12型。

 

 1曲目のオベロン序曲は曲想の変化を軽快なテンポの中でとてもよく描き分けていた。

 2曲目のスコットランド幻想曲は初めて聴く曲だったが、ヴァイオリンの冴え渡る響きが印象的だった。厚みとか派手さはないが、一つ一つの音を楷書のように弾いていく感じだった。アンコールは「この道」だった。

 3曲目は「田園」。札響の田園は、2011年に尾高忠明指揮で18年にマックス・ポンマー指揮で聴いている。尾高指揮の田園は情緒的なものを排除した曲本来の本質に迫るような演奏だった。ポンマー指揮の田園は劇的でスケールが大きい田園だった。この日の演奏は田園とはこういう曲ですというお手本のような演奏とでもいうのだろうか、聴き慣れた曲でここはこうあって欲しいという期待に添った演奏だった。聴いて行くに従って曲のドラマの中にどんどん入り込んでいくような感じになった。

 

 札幌コンサートホールKitaraは8ヶ月間の改修期間に入り、これからしばらくはhitaru通いになる。天井が補強されるということだが、オーディオ的には天井の補強はいい音に繋がることが多いがKitaraも改修後はそうなったくれることを期待したい。