三大ヴァイオリン協奏曲の響宴

 令和5年(2023年)5月7日、札幌コンサートホールKitaraで首記コンサートを聴いてきた。

 ヴァイオリンは松田理奈(ストラディヴァリウス1717年製)、指揮は太田弦、管弦楽は札幌交響楽団だった。

 プログラムは

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」より「四季」

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

 松田理奈は2年前にも札響名曲コンサートでカルメン幻想曲やツィガーヌを聴いている。

 

 1曲目は「四季」。編成は指揮者なしで3-3-2-2-1だった。四季のレコードはたくさんあるが、生演奏で聴く機会はあまり多くない。前回がいつだったか憶えていないぐらい久しぶりに生演奏を聴いた。楽譜の版が違うためか聴き慣れた演奏とは数カ所違っているように聞こえた。演奏は清々しく爽やかな四季だった。

 

 2曲目は「メンコン」。編成は12型。静かな出だしをオーケストラが支えながら進んでいく。オーケストラとの掛け合いというよりはソロを生かす指揮が見事だった。やや線が細いという感じもあるが歌うところはよく歌い、リズミカルなところはリズミカルにというメンデルスゾーンらしさがとてもよく伝わってくる演奏だった。

 

 3曲目は「チャイコン」。編成は12型。とても素晴らしい演奏だった。第1楽章の終わりで拍手があったがそれだけ拍手を思わずしたくなるほどの演奏だったと思う。速いパッセージでも音が流れることなく一音一音がはっきりとしていて端正で清々しさもありながら聴き応えのある演奏だった。

 アンコールはイザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番「バラード」だった。

 

 今回の演奏会は名曲だけ聴ければいいという動機で聴きに行ったのだが、それ以上にとてもいい演奏だった。改めて松田さんに拍手を送りたい。

 普段はあまり座らないステージ真横の2階席で聴いた。弦楽器と木管金管が等距離で聞こえてくる。普段は正面で弦が手前でその後ろに木管金管という聞こえ方とは違い、管楽器の直接音がよく聴き取れるという新鮮な響きも聞くことができた。