令和3年(2021年)8月21日、札幌コンサートホールKitaraで首記の札幌名曲シリーズを聴いてきた。昨年、11月からKitaraが改修期間に入ったので今年度最初の名曲シリーズでもあり、7月にKitaraが再開してから初めての札響主催コンサートでもあった。
指揮は円光寺雅彦、ヴァイオリンは松田理奈。プログラムはビゼー:「カルメン」より第1幕への前奏曲、サラサーテ:カルメン幻想曲、バルトーク:ルーマニア民俗舞曲、リスト/ミュラー=ベルクハウス編:ハンガリー狂詩曲第2番、J.シュトラウス:「ジプシー男爵」序曲、「騎士パズマン」よりチャルダッシュ、ブラームス:ハンガリー舞曲第5番、第6番、第3番、第1番、ラヴェル:ツィガーヌだった。編成は14-12-10-8-7。聴衆は半分くらいの入りだった。
ジプシー(現在はロマと言われている)音楽は各国に拡がりハンガリー○○という曲はチャルダシュも含めジプシーの曲であることから、今回のプログラムはそのように選曲されているようだ。
1曲目は「カルメン」前奏曲。聴き慣れた曲の聴き慣れた演奏という感じだが、大太鼓の響きが変わったように感じた。
2曲目はカルメン幻想曲。松田さんのヴァイオリンは最初のアラゴネーズでは少々不安もあったがハバネラからは次第にエンジンがかかってきて、セギディーリャからジプシーの歌では見事な演奏だった。
3曲目はルーマニア民俗舞曲。軽快な木管楽器のリズムが印象的だった。客演奏者の中川愛さんのピッコロが見事だった。
4曲目はハンガリー狂詩曲第2番。リストのピアノ曲の管弦楽版。弦楽器の響きが厚く木管の輝かしく響いていた。
5曲目は「ジプシー男爵」序曲。ゆったりと始まり次第に軽快なワルツへと以降していくというように急と緩もよく表現されていた。
6曲目は「騎士パズマン」よりチャルダッシュ。チャイコフスキーのバレエ音楽にもよく使われているチャルダッシュは緩→急という形を取る舞曲。
7曲目はハンガリー舞曲から4曲。有名な曲だが、コンサートで演奏される機会は意外と少ない。
8曲目はツィガーヌ。松田さんのヴァイオリンは冒頭から冴えていてとても良い演奏だった。
アンコールはモンティ/チャルダッシュだった。
1つのテーマで、そのテーマに沿った曲を集めてプログラムを組むと、似たような形式の曲が続いて、どのように演奏するのかというのもなかなか難しい面もあるのだろう。そのためか、総じて一つ一つの曲にあまり急緩のメリハリを敢えて付けすぎないようにしていると感じた。
Kitara改修後、14型フル編成のオーケストラを聴いたのは今回が初だった。1曲目のカルメン前奏曲で大太鼓の音がいつもより響いている様に聞こえた。また、以前はもう少し低弦がフワッとした感じがしていたが音像が明確になっているようだった。
ホールの天井が改修され、天井から吊り下げられている反射板の共鳴が少なくなったためかとも考えたが、単なる気のせいかもしれないので結論は、もう少しいろいろと聴いてからにしたい。