ディスクのこと 4(フィストラーリのシルヴィア)

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ドリーブ「シルヴィア」マーキュリー盤


 これはステレオサウンド社刊「クラシック録音106究極ガイド」で紹介されていたレコードで1958年録音のマーキュリー盤。曲はレオ・ドリーブのバレエ音楽「シルヴィア」で神話を題材にしたバレエ。アナトール・フィステラーリ指揮、ロンドン交響楽団の演奏。

 冒頭から叩きつけるようなオーケストラの響きが奏でられる。ダイナミックレンジが広く、空間の再現も見事。木管の響きは柔らかく、ピアニッシモでもかすむことがない。全奏のときは各セクションを分けるというのではなく、一体となるように響いてくる。

 圧巻なのはホルンの印象的な旋律が、あたかもステージの奥にも響く様な奥行き感があること。聴いているとオーケストラピットからステージの奥に響きが拡がっていく様子が見えるようになり、聴いていてステージの存在を彷彿とさせる。

 メジャーレーベルにはないダイナミックレンジの広さや奥行きの深さはあるが、細かい弦の響きは少し劣るように思う。ヴァイオリンが少しギスギスした感じがするのは、オーケストラがロンドン交響楽団であることを考慮にいれたとしても、気になる点ではある。高域や低域の周波数特性(Fレンジ)はそれほど広くない。

 

 演奏については、他の演奏と比較するということがあまりないので断言はできないけど、場面の移り変わりがとてもよくわかるような演奏になっている。指揮者の力量が存分に発揮されている印象だ。