第644回札幌交響楽団定期演奏会

 令和4年(2022年)4月24日、第644回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は札響友情指揮車の広上淳一、ピアニストはコロナ禍とハンガリーに隣接するウクライナの事態に影響を受け、急遽来日を中止したデジュー・ラーンキに代わり、小山実稚恵になった。

 プログラムは、武満徹:群島S.、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、R・シュトラウス交響詩英雄の生涯」だった。

編成は群島S.が2-2-2-1、ピアノ協奏曲が10-10-8-6-4、英雄の生涯が16-14-12-10-8。

 

 1曲目は「群島S.」。左右の端にクラリネット。指揮者の左側にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとコントラバスが1人づつ、オーボエ、ハープ、ティンパニィなど、指揮者の右側にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが1人づつ、フルート、ファゴットチェレスタチューブラーベルなど。奥にトランペット1、トロンボーン2、ホルン2が配置されていた。それぞれが海に浮かぶ島のようにイメージされている。それぞれの響きが連なったり孤立したりしていく音楽になっていた。

 

 2曲目は「ピアノ協奏曲第3番」。3月の名曲シリーズで金子三勇士の4番を聴いたが鍵盤を強く叩くあまり和音が崩れているように感じたことがあった。この日の小山実稚恵は一つ一つの音をはっきりと響かせ和音も崩れることなくピアノらしい響きを奏でていた。協奏曲らしいオーケストラとの掛け合いもぴったりで調和のとれたとてもいい演奏だった。

 アンコールはなかった。

 

 3曲目は「英雄の生涯」。この曲は「英雄」、「英雄の敵」、「英雄の伴侶」、「英雄の戦場」、「英雄の業績」、「英雄の隠遁と完成」の6つの部分からなっていて、R・シュトラウス交響詩の集大成ともなっている。冒頭の低弦から堂々とした響きがホールに拡がる。その後に出てくる諧謔的な木管の響きもよかった。今年からコンサートマスターに就任した会田さんのソロも熱が入っていたことは良く伝わってきた。

 欲を言えば全体の構成としてもう少し物語としてのドラマ性があったらいいのにとも思った。各部分の演奏は良かったけど最後の方が少し持て余し気味になってしまった感じも受けた。