第645回札幌交響楽団定期演奏会

 令和4年(2022年)5月29日、第645回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は札響首席指揮者マティアス・バーメルト、ピアニストはアンヌ・ケフェレックだった。ようやく海外からの演奏家が来日できるようになった。

 プログラムは、ヘンデル:「水上の音楽」第2組曲モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番、シューマン交響曲第3番「ライン」だった。

 編成は前半が12―10―8―6―4、後半が14―12―10―8―6。

 

 1曲目は「水上の音楽」。有名なトランペットの旋律で始まる。一昨年のハーティ版より弦の編成が大きくなったためヘンデルらしい華やかさがある。

 

 2曲目は「ピアノ協奏曲第27番」。モーツァルトピアノ協奏曲で良く聴く録音でゲザ・アンダのピアノ協奏曲全集がある。管弦楽はモーツァルテウム管弦楽団で61年から69年にかけて録音された。バーメルトは65年から69年まで同楽団で首席オーボエ奏者だった。この全集の27番は69年に録音されているので、もしかしたらバーメルトが演奏するオーボエが録音されているかもしれない。

 ピアニストのケフェレックはバドゥラ=スコダ、デームス、ブレンデルに師事とプログラムに書かれている。レコードファンには馴染みがある名前ばかりだ。ケフェレックのピアノタッチは一音一音が明快でモーツァルトの曲に相応しい。音量は大きくなくてもホールの隅々まで響き渡る音色だった。バーメルトとケフェレックのコンビによる演奏はモーツァルトらしい軽やかさと明快さがよく聴き取れてとてもよかった。

 アンコールはヘンデル(ケンプ編)/メヌエット ト短調 HWV434 No.4 だった。

 

 3曲目は「交響曲第3番 ライン」。前回の名曲コンサートの時と違い、オーケストラの各パートが隅々までよく鳴っている。シューマンらしい感情の起伏や跳躍がとてもよく表現されている演奏だった。最近、いろいろなことが重なり集中力を欠いたような演奏が続いていたが、今回はとても充実した演奏会だった。