令和3年(2021年)11月27日、札幌コンサートホールKitaraで首記の札幌名曲シリーズを聴いてきた。
指揮とお話はマティアス・バーメルト。通訳は札響事務局 総務営業部長の庄司寿子。
プログラムは
ワルトトイフェル:スケーターズ・ワルツ
シベリウス:悲しきワルツ
グノー:「ファウスト」よりワルツ
ラヴェル:ラ・ヴァルス
昨年も企画されていたバーメルトさんのワルツの演奏がようやく聴けた。ウィンナ・ワルツを除いたワルツのプログラムで聴き慣れた曲もあるlし、なかなか聴く機会のない曲もあった。期待が大きかったせいもあるのか、前半は何となく抑え気味で、後半の方が良かったと思う。
途中でチェロ奏者の1人が、おそらく弦が切れたのだと思うけど、一度ステージから退場したため1曲(確かスケーターズワルツ)だけチェロ奏者が少なかった。CD用の録音がされているはずだけど、そのままの録音で発売するのだろうか。
印象的だったことを書いておきたい。花のワルツでホルンの主題が3回出てくる。これらは1回目はピアノ、2回目はメゾピアノ、3回目はメゾフォルテで奏される。バーメルトさんの指揮は、それらの異なる音量の変化に聴きながら気付くように演奏している、と感じることがある。これはバーメルトさんの演奏の特長の一つだと思っている。スコアに書いてあるので誰でもそのように演奏しているといえばそうなのだが、バーメルトさんの場合はピアノのときはこれから大きくなると予感させ、メゾフォルテのときは音が大きくなったことに気付かせてくれるところが普通の演奏とは違う。スコアの知識がなくてもそれと気付かせてくれるというのはバーメルトさんの構成力だと思う。
この演奏はいづれCDで発売されるようなので、このホルンの「小さい大きい」がマイクでどれだけ捉えられているか、自宅のオーディオシステムでどれだけ再生できるかということは今から興味深い。
悲しきワルツの出だしの精妙なピアニッシモが微かに耳に触れるように聞こえていた。大きくなる箇所が唐突にならないように全体の中に納めていた。
1曲ずつバーメルトさんの解説付きで、その曲の情景が浮かび上がるような演奏だった。
アンコールは、カオスのまま終わるわけにはいかないということで、「美しき青きドナウ」だった。