第642回札幌交響楽団定期演奏会

 令和4年(2022年)1月29日、30日、第642回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 当初はマティアス・バーメルトの指揮が予定されていたがコロナ禍の中で来日が叶わず指揮者がユベール・スダーンに変更になった。ヴァイオリン独奏は札幌市出身の山根一仁。

 プログラムは、ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」より「愛の場面」、伊福部昭:ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲、シューマン交響曲第2番だった。

 編成は協奏風狂詩曲が8-8-6-6-4、他が14-12-10-8-7。

 

 1曲目は「愛の場面」。ヴィオラとチェロの美しい旋律が印象的。ファゴット4本とイングリッシュホルンもよかった。

 

 2曲目は「協奏風狂詩曲」。今回が札響の初演だった。山根一仁さんのヴァイオリンはとても鋭く力強かった。冬は空気が乾燥しているせいかヴァイオリンの響きも冴え渡る。ゴジラのテーマも一部出てきたりしてダイナミックで生き生きとしたリズムがとても印象的だった。

 

 3曲目は「交響曲第2番」。この曲は第1回のPMFバーンスタインが演奏した。リハーサルも含めて映像が残っている。そういった経緯から昨年のPMFでも大植英次指揮で札響がホスト・シティでこの曲を演奏したが、編成は12-10-8-6-5だった。編成が大きくなりオーケストラの響きも厚くなったこともあるが、今回の定期ではより内側に情熱を充満させた演奏に感じた。

 

 バーメルトさんの定期演奏会は2日とも聴きに行こうと思い早くから年間指定席の他にもチケットを買っていた。しかし、来日が叶わなくなりキャンセルをしようかとも思ったがユベール・スダーンだったのでそのままにした。それほど馴染みがある曲によるプログラムではなかったが、結果的には2日間聴くことができてよかった。1日だけだったら2日とも聴いておけばよかったと後悔していたかもしれない。

 

 1階席と2階席で聴いた。2階席はオーケストラの各パートが分離してはっきりと聞こえ、1階席ではオーケストラ全体が1つの響きとなって聞こえた。オーディオに例えると2階席はステレオイメージがよく再現できるブックシェルフの小型スピーカーで聴いている感じで、1階席は比較的大きいフロア型のスピーカーで聴いているようだった。

 ヴァイオリンのソロも2階席では倍音がよく聞こえる冴えた響き、1階席では基音がよく聞こえる厚い響きという感じに聞こえた。