名古屋・東京旅行記

 令和3年(2021年)11月20日から21日まで名古屋と東京に行ってきた。名古屋は通過したことはあるが、宿泊するのは初めて。目的は愛知県芸術劇場コンサートホールで名古屋フィル定期演奏会新国立劇場で楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を観ることだった。(演奏会の感想は別ブログに掲載)。

 名古屋フィルの演奏は16時からでそれに間に合う飛行機はJALの10時30分新千歳発だった。飛行機の出発時間があまり早くなかったことと、コンサートではできるだけ眠らないようにしたいので空港連絡バスでゆっくりと座って行くことにした。

 バスは予定通り9時30分に新千歳空港に着いた。快速エアポートよりも搭乗口に近く楽だった。コロナ禍後の道外旅行は4回目になるが、緊急事態宣言も解除されたため空港内はコロナ禍後では一番混んでいた。国内線の乗客がかなり戻っていてそれまでの閑散としていた空港の雰囲気とは全く違う。

 荷物検査所入口に行くとすでに出発が10分遅れの表示になっていた。結局、出発は30分遅れた。飛行機は片側3列のボーイング737-800で主翼の両端が上に曲がっている機種でほぼ満員だった。中部国際空港セントレアから名鉄特急に乗って40分ほどで名古屋駅に着いた。

 

 名古屋では是非とも味噌煮込みうどんを食べようと決めていた。というのも高校生の頃、私の叔父が名古屋で3年ぐらい修行して札幌にうどん店を開いたことがあった。開店前に一度呼ばれて食べに行ったことがある。その頃、札幌ではこしのある手打ちうどん専門店というのは珍しく、うどんというと茹で麺を湯がいてつゆをいれるというようなものが主だった。食べてみると初めて食べるような食感でおいしかった記憶がある。叔父は、「今度来たときは味噌煮込みうどんを食べさせてやるからな」と言っていた。 

 しかし、そのうどん店は流行らなかったため1年も経たずに閉店したので、味噌煮込みうどんを食べることはできなかった。叔父はその後、横浜に行ってサッカーJリーグ横浜フリューゲルスの選手寮の賄いをしていたが、チームが消滅して退職し、埼玉に行った。その叔父も今年ガンで亡くなった。そんなことから、どうしても味噌煮込みうどんは食べて置きたかった。

 

 名古屋駅構内は迷路のようでどこになにかあるのかよくわからない。うろうろしていると味噌煮込みうどんのお土産を販売している店があった。そこの店員さんに食べるにはどこに行ったらいいかと訊くと「そこを左に曲がって階段があるので地上に出て・・・」と教えてくれた。その通りに進み、店は見つけられたが、土曜の午後で長蛇の列だった。飛行機が遅れて少し時間も押していたので昼に味噌煮込みうどんを食べることは諦め、その向かいにある洋食店味噌カツ定食(1,480円)を食べることにした。味噌カツはとんかつソースと比べると味が濃かった。

 会計をしているときに「地下鉄桜通線に乗るにはどっちに行ったらいいですか。」とレジを売っている女性の店員さんに訊いたが「わからない」という。他の店員さんにも訊いてくれたが皆、首を横に振る。年配の男性店員の方が知っているようで「案内します。」と言ってくれた。店を出て右か左のどちらかを教えてくれればいいと思っていたのに、数十メートル先の出入り口まで行き、桜通線の案内板がある地下の入口まで案内してくれた。店も忙しいのにそこまでしていただいて恐縮してしまった。

 その通りに行くと地下鉄桜通線高岳(たかおか)に行きホテルに向かった。高速道路の高架橋が頭上を走っている道路に沿って歩くとホテルがあった。交通の便はいいが少し古いホテルでオートロックではなくドアを出入りする際は一々鍵をかけなくてはならなかった。防音もあまりされていないようだった。

 チェックインをして、徒歩で愛知芸術劇場に向かった。事前に道順は調べておいたので迷うことなく着いた。少し時間があったので久屋大通テレビ塔やオアシス21の外観を写真に撮った。久屋大通と愛知芸術劇場の間に、オアシス21という屋根付きのイベントスペースとその周りに飲食店がある施設がある。札幌に例えるとhitaruとテレビ塔の間のカナモトホールのところにサッポロファクトリーのアトリウムがあるような感じだろうか。時々、名古屋と札幌は似ているという意見を聞くことがあるが、果してどうなのだろう。今回はそこまで名古屋の街を見ることができなかったので次の機会にはそういうところも見てみたい。

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愛知芸術劇場

 愛知芸術劇場は大ホールの上にコンサートホールがある。もちろん真上にあるわけではなく違う高さで隣にあるということのようだ。その上には美術館もあるらしい。

 コンサートが終わり、夕食は今度こそ味噌煮込みうどんにしようと思い、名古屋駅に行った。翌日の朝には東京に向かわなくてはならないので今のうちにお土産も買うことにした。コンサートホールから人の流れに付いて行くと、地下からオアシス21の中を横切り、地下鉄東山線の栄駅から名古屋駅に行った。もう周りは暗くなっていたので昼間以上にどこにいるかわからない。それでも何となくうろうろしていると高島屋の出入り口を見つけ、地下食品売場でお土産を買うことにした。赤福と栗きんとんは日持ちしないので候補から外し、またあまり嵩張る物はキャリーケースに入らないなどと考えながら彷徨っていると、奈良漬けが目についたので名古屋のお土産は奈良漬けにした。

 それからJRセントラルタワーズタワーズテラスで写真を撮り、何となく人が行く方向を見るとここの13階がレストラン街になっている。その中には味噌煮込みうどんの店もあった。せっかくなのでエレベーターで上がってみた。しかし、ここも長蛇の列だった。土曜の夜ということもあり、家族連れや数人の仲間同士という人たちが多かった。そこに1人で並ぶというのはどうも後ろめたい。外に列をなして順番を待っている人がいる店に4人掛けのテーブルに1人で食事をするというのは何ともあずましくない。昨年も横浜のクイーンズスクエアで同じような思いをして、結局ホテルに戻りディナーバイキングにしたことがあった。

 再びエレベーターで下に戻り、昼間に入らなかった味噌煮込みうどんの店(うまいもん通り 広小路口)に行った。3人ぐらいしか並んでいなかったのでここで待つことにした。特に具が入っていない一番安いもので1,140円だった。それを注文して待っていると漬物が出てきた。おかわりは自由らしい。一度全部食べた後、おかわりはいかがですかと訊かれたがこの時は断った。うどんが出てきて食べている内に少しあっさりとしたものも口直しに欲しくなり、やっぱり漬物をくださいと店員さんに頼んだ。しかし、うどんを食べ終わっても出てこなかった。店も混んできて店員さんも忘れているようなのでそのまま会計を済ませて店を出た。店外に出ると10人ぐらい並んでいて、少し時間が遅かったら味噌煮込みうどんにはありつけなかったかもしれない。やっぱり味噌煮込みうどんは名古屋の味噌文化の食べ物で、札幌ではむずかしかったのかなとも思った。

 それから昼間の洋食店の店員さんに教えられたとおりに桜通線に乗ってホテルに戻った。着替えをしてシャワーを浴びて床についたが、廊下や隣室からいろいろな音が入ってくる。寝不足のままマイスタージンガーの全曲を観るわけにはいかないので、こういうときのために用意していた耳栓をして寝た。

 

 翌日(21日)、朝食を摂りにホテルのレストランに行った。普段の朝食はパンなので、以前は旅行先の朝食もパンにしていた。しかし、一昨年ぐらいから朝食はご飯にしている。というのも東京などでは昼食を食べようと思っても混雑しているなどの理由からコンビニで買うもので済ませることが多くなる。それで腹持ちがするご飯にした。朝食後、早めにチェックアウトして名古屋駅に向かった。地下鉄桜通線から新幹線ホームはすぐだった。新幹線の待合室には売店があり、弁当も売っていたが、今のご時世では屋外であっても東京で弁当を食べる場所があるかどうかもわからないので買わなかった。

 

 予定通り新幹線のぞみに乗った。新幹線に乗るのは今までの人生で7回目。本当に数えるほどしかない。以前、東京から横浜アリーナに行ったときに新幹線に乗ったことがある。地下鉄から新幹線の切符を買わずに乗ったので車内検札で料金を払った。「どこまで」と訊かれたので「新横浜」と答えると、どこからともなく「こんなに近いのに新幹線に乗るやつなんているのか」という声が聞こえた。こちらは旅行会社の案内に東京のホテルから横浜アリーナに行く方法として新幹線も紹介されていたので普段乗ることのない新幹線にこの際だから乗ってみようと思ったのだけれど、首都圏では常識から外れた者でしかないのだなと思い知らされた。

 

 新横浜に停まった時、去年の今頃は横浜に来ていたな、あれから1年も経ったのかと思っていると東京駅に着いた。ホテルがある九段下には大手町から地下鉄半蔵門線東西線で行くのだが、どこに行けばいいかわからなくなりとりあえず外に出た。今になって調べてみると丸の内南口に出たらしい。新幹線を降りてから反対側に進んでいたようだ。出てみると新しい東京駅があったので写真を撮ることができた。おそらく皇居の方に行けば駅があると思いそちらに行くと大手町の地下鉄駅出入り口が見つかった。

 地下鉄半蔵門線で九段下には行ったが、ホテルに一番近い出口がわからない。ホテルに電話をすると7番出口だという。しかし、案内表示には1番から6番までの出口の矢印はあるが、7番がない。「東京都交通局」の文字が入ったジャンバーを来ている方に訊ねてもわからないという。それでもおそらくこっちじゃないかと言われた方に行き、地下鉄東西線のホームに沿って行くと7番出口の表示を見つけた。7番出口から出るとホテルはすぐ近くだった。ホテルはあまり大きくはないが、新しくきれいなところだった。チェックイン前、荷物を預ける時に、あちこち歩き回った(迷った)ので着替えをしたいというと、多目的トイレを使ってくださいと、今まで泊まったホテルの中で一番親切な対応をしていただいた。

 そして荷物を預けて初台に向かった。宿泊場所を九段下にしたのは乗り換えなしで初台まで行けるからだった。初台駅に着くと新国立劇場の案内板があったのですぐにたどり着くことができた。昼食は新国立劇場の周辺で食べようと考えていた。周りには喫茶店ファミリーマートもあったが、マグドナルドがあったのでそこのチーズバーガーセット(640円)にした。東京に来たときにはおいしいものを食べるということはもう諦めている。とりあえず腹ごしらえさえできればいい。これから長丁場(14時~20時)になるので小腹が空くことも考えてファミリーマートバウムクーヘンと水を買った。

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新国立劇場

 新国立劇場内に入り、係の方にコインロッカーはありますかと訊ねると、会場内にはないので地下鉄駅のコインロッカーを使ってくださいと言われた。再び地下鉄駅の方に向かうと階段を少し降りた踊り場にコインロッカーがあった。一番小さくて400円(もした)。リュックを入れ、必要なものだけエコバックに入れて再び劇場内に行くと開場時間になり中に入った。

 喫茶コーナーが始まっていて飲み物と軽食を提供していた。休憩時間の時にファミリーマートで買ったバウムクーヘンを食べたがおいしくなかった。道外に旅行したときに一番困るのは実はセイコーマートがないこと。コンビニはどこにでもあるけど、中に入ってもセコマ以外では買いたいものがあまりない。

 

 予定通り20時頃に終演してまっすぐ地下鉄で九段下に向かった。夕食はホテル近くのラーメン店に入った。その店の名前がついたラーメン(780円)を頼んだ。パスタのような麺だった。ラーメンは所詮ラーメンなのでその土地の産品で出汁を取ればいいと思うけど、ラーメンはラーメンでうどんでもないしパスタでもないと思うのだけれども、時々これはうどん、あるいはパスタにできるのではという麺のラーメンに出会うことがある。

 

 ホテルに帰り、チェックインして荷物を受け取り部屋に入った。ここはカードキーだった。あまり隣室からの音も聞こえず快適な部屋だった。これまで東京のホテルでは幹線道路に面していると車の音がうるさかったり、エアコンの室外機の音がうるさかったり、エレベーターの動く音がうるさかったりという部屋ばかりだった。東京のホテルでこんなに快適な部屋は初めてだったかもしれない。

 

 翌朝、ホテルの朝食はビュフェスタイルで、こんなところにも少しずつ日常が戻っていると実感した。飛行機の出発時刻まで時間があったので午前中は上野方面で時間を過ごし昼食を摂ってから羽田に行く予定でいたが、天気が下り坂で北海道の方は風も強いという予報になったので、予約していた旧岩崎邸庭園の見学だけにしてすぐに羽田に向かうことにした。九段下から湯島に地下鉄で行き、コインロッカーにキャリーケースを預けて地上に出ると「不忍池」が見えた。子供の頃、「庖丁人味平」という漫画に不忍池で包丁試しをするという場面があったことを思い出した。今調べると、包丁塚というのがあるらしい。もう少し探しておけばよかった。

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旧岩崎邸

 旧岩崎邸に行くと予約票を見せて受付をして、邸内に入るところで靴を脱ぐのだが、そこにいる警備員の方がとても偉そうで、旧財閥系ってこうなのかなと感じた。神戸の北野異人館のようにいろいろな調度品やコレクションで溢れているのかと思っていたが、邸内は意外と質素だった。一番目に付いたのは各部屋に設置されている大きな暖炉で、東京でこんなにたくさん必要なのかなというぐらい設置されていた。質問したかったがそんな雰囲気はなかった。

 湯島駅でコインロッカーからキャリーケースを出し、そのまま羽田に向かうことにした。湯島から大手町で都営三田線に乗換え三田から京急で羽田に向かった。京急からJALの羽田第1ターミナルに行く途中のタリーズコーヒーの「ジャーマンドッグカフェ」という名前に吊られてホットドックとコーヒーを注文した。朝食はそれなりにしっかり食べてきたので昼はこれぐらいでいいかなと思ったが、満員の飛行機の中でお腹を鳴らすのも気が引けるのでパンを買おうと、向かいのヴィ・ド・フランスでメロンパンを買った。それからもう一つお土産を買い忘れていたことを思い出し、羽田のお土産店に入った。以前、自宅用にとうきびチョコのようなお菓子を買っていったことがあるが全然おいしくなくて捨てたことがある。店構えはいいけど味はさっぱりということもあるので用心深く敢えて値段も少し高い物を選んだ。果して味はどうだったか聞いていない。

 荷物検査所を早めに通過して出発時間まで本を読んで過ごすことにした。途中で少しお腹が空いてきたので珈琲を買ってきて、先程買ったメロンパンを、人目を忍ぶようにあまり気付かれないように食べた。このメロンパンが東京で食べた物で一番おいしかった。

 北海道方面の天気は強風が吹いているようで、出発便は新千歳に着陸できないときは羽田に引き返すという「条件付き」フライトとなるというアナウンスがされた。

 出発時間も少し遅れた搭乗となった。機種は座席が2-3-2だったのでB767-300だったと思う。機内サービスは冷たい飲み物だけで早めに終了。飛行機はかなり揺れたが無事に新千歳空港に着陸した。それから快速エアポートで札幌駅に着き、夕食にはラーメン共和国でラーメンを食べ、帰宅した。

 

 来年も道外旅行ができるだろうか。春には難しいのでまた秋になりそうだ。次は関西のホールか、東京芸術劇場新国立劇場の隣にある東京シティで聴いてみたい。