第248回読売日本交響楽団 土曜マチネシリーズ

 令和4年(2022年)6月25日、東京芸術劇場コンサートホールで読売日本交響楽団土曜マチネシリーズを聴きに行ってきた。

 東京芸術劇場は一昨年の3月に行く予定でチケットも買っていたがコロナで中止になった。それが今回ようやく聴きに行けた。池袋に行くのは初めてなのでとりあえず改札を出たら池袋の西口に向かえばいいと思っていた。西口にも北、中央、南があるとは知らず中央の方に行ったら、芸劇の案内表示を見つけその通りに行くと、結局、元の改札口に戻ってきて外を見ると「東京芸術劇場」の表示を見つけ辿り着いた。中に入るとコンサートホールは5階だという。まるでhitaruのようだと思いながら入っていった。帰るときもエスカレーターは混むので階段をご利用下さいと言われるところまでそっくりだった。

 

 指揮は常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレ。ファゴット独奏はフランスのロラ・デクール。プログラムはワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲、モーツァルトファゴット協奏曲、ベートーヴェン交響曲第7番だった。

 読響は一昨年、横浜みなとみらいホールで聴いている。ヴァイグレは名前と顔はよく見るが初めて聴く指揮者なのでどんな指揮をするか注目していた。座席は2階下手側前列付近。

 開演前に数人の木管コントラバスの団員がステージ上で楽器の調整をしている。その音からとてもよく響きそうなホールだと思った。開演時間には一度退場するのかと思ったらそのまま他の団員も入場してきてコンサートマスターがチューニングを指示したので少し驚いた。このオーケストラの慣習なのだろう。

 1曲目は「さまよえるオランダ人」序曲。編成は14-12-10-8-6。冒頭出だしから管楽器が少し乱れる。弦は厚みがありコントラバスも良く聞こえるがフォルテッシモでの弦のうるささが気になる。金管木管もよく鳴っているが間接音が多いような響きでなる。

 オーケストラの各セクションはよく鳴っているが、響きが重なってくるとうるさくなる。演奏は流石にバイロイトで経験がある指揮者なのでとてもよかった。

 

 2曲目は「ファゴット協奏曲」。編成は10-8-6-4-2。ソロの音を聴くと直接音より間接音の方が多いのか見た目より少し遠く聞こえる。演奏はとてもよかった。欲を言えばモーツァルトらしい軽やかさがあればと思った。

 アンコールはファビオ・ジャノーラ/作曲マルチフォニックファゴットの為の古代と現代の舞曲よりAfrocubana。退場しながらの演奏は聴衆の笑いを誘っていた。

 

 3曲目は「交響曲第7番」。編成は14-12-10-8-6。冒頭から激しい和音。各セクションともよく鳴っている。テンポが速く熱が籠もったいい演奏だった。

 東京芸劇はステージ後方に座席はなく、横には1列だけ3階席がかなり広い。直接音が少なく各楽器が拡がった音で聞こえる。細かい音色の変化はあまり聴き取れなかった。間接音主体の音響で、響きすぎるのかもしれない。

 一昨年、横浜みなとみらいホールでも読響を聴いた。その時は弦の音色が統一されているとてもいいオーケストラだと思っていたが、この日は何故かいい響きではなかった。

 終演後、前を歩いている人たちの「やっぱりモーツァルトベートーヴェンは違うんだな。モーツァルトは宮廷音楽で・・・」という会話が聞こえてきた。すぐ追い抜いたので会話は聞こえなくなったが、東京はインテリが多いと感じた。ベートーヴェンについて何と言っていたのか聞いておけばよかった。