第700回 東京交響楽団定期演奏会

 令和4年(2022年)6月25日、サントリーホールで首記コンサートを聴きに行ってきた。

 指揮はルーマニア出身のイオン・マリン。プログラムはチャイコフスキー交響曲第4番、ストラヴィンスキー火の鳥全曲(1910年版)。

 

 東京交響楽団を聴くのは初めて、サントリーホールは19年3月に日フィルの演奏を聴いている。座席は1階席下手側の後方で2階席がぎりぎり被らない辺りだった。

 楽団員が入場してくると座席で立ったままでいる。そしてコンサートマスターが最後に入場してきて客席に一礼すると一斉に座るというスタイルだった。

 

 1曲目は「交響曲第4番」。編成は16-14-12-10-8。冒頭のファンファーレは少し遠く聞こえる。ホルン、トロンボーンともよくなっている。弦楽器もヴァイオリンからコントラバスまでよく聞こえ、充実したとても良い演奏だ。

 この曲には弦や木管が細かいテクニックを駆使して歌う旋律もあるがそれがあまり聴き取れない。弦のフォルテッシモは透明感がなくうるさく聞こえた。

 

 2曲目は「火の鳥」。編成は16型で同じ。木管金管、打楽器ともよく鳴っていて東響のレベルの高さを感じる。千変万化する曲想をとてもよくコントロールしていてオーケストラもそれに応えている。

 それでも管楽器の音は遠いままで、金管がフォルテッシモのとき目前に迫るように聞こえてくるような迫真感はあまりなかった。曲はフォルテッシモばかりではなく木管のソロの箇所もあるが朗々と響くというより空中に漂うように拡がる。ピアニッシモはあまり明快ではなく細かいニュアンスまでは聴き取れない。そこから突然、打楽器や金管のフォルテッシモが出てくるのでとても迫力ある演奏に聞こえる。

 

 サントリーホールは3年前に聞いて以来、2度目になる。その時は1階6列の一番下手側の席だった。そこでは奏者がすぐそこにいるのに間接音しか聞こえてこなかった。今回はそんなことはなく十分な音量で聞くことができたが、管楽器の音が遠く、弦楽器は粗さが目立った。管楽器の音の遠さはホールの音響だとは思うけど、弦の粗さはオーケストラなのかホールの音響なのかは正直よくわからない。 

 700回の定期演奏会ということで会員の方もたくさん来場していただろう。その方々は団員が退場した後も指揮者に盛大な拍手をしていた。もしかしたらそれぞれのホールにはそのホールでの聴き方というのがあって、自分がよく判っていないだけなのかもしれない。