令和4年(2022年)7月22日、Kitara大ホールで首記コンサートを聴きに行ってきた。PMF開催当初は海外からレジェンドオーケストラが来日したり、N響が来たりという時期もあったらしい。その後、次第にPMFと札響の関係も改善され、PMFでもコンサートを開催するようになった、と記憶している。
指揮はケン=デイヴィット・マズア、ゲストコンサートマスターはライナー・キュッヒル、ファゴット独奏はフィラデルフィア管弦楽団首席奏者でPMFのアカデミー生でもあったダニエル・マツカワ。
プログラムは次の通り。
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲(聖アントニーのコラールによる変奏曲)
編成はブラームスとシューマンは12-10-8-6-5、モーツァルトは8-8-6-4-2だった。
1曲目は「ハイドンの主題による変奏曲」。副題に「聖アントニーのコラール」と付いているが「聖アントニー(アントニウス、アンソニー、アントワーヌ、アントニオ)」は紀元3世紀中頃にエジプトで生まれたキリスト教者。砂漠で苦行中に悪魔による様々な魑魅魍魎の脅迫、暴行、誘惑に耐え抜き、そこに共鳴者が集まり自給自足の生活をするようになる。そのため聖アントニーが修道院制度の創始者とされる由縁となっている。
最初に木管で奏でられる主題が様々な変奏(試練?)を経て、最後に高らかにオーケストラで奏でられる。しかし、今日ではそこに宗教的意味を持たせるような演奏は反って難しくなっている気もする。
この日の演奏は「今日的」解釈による「今日的」演奏だった。指揮者のテクニックも札響のアンサンブルも見事だった。
2曲目は「ファゴット協奏曲」。この曲は1ヶ月前に東京芸術劇場で読売日響の演奏で聴いている。その時に比べると座席がステージから少し離れていたせいかソロの音は少し遠かったが、オーケストラとのバランスは良かったと思う。弦楽器のきつい響きはなく札響らしい透明感のある弦の響きだった。
3曲目は「交響曲第4番(初稿版)」。出だしから通常版とは違うなという印象があった。主に第1楽章と第4楽章に普段聴いている版との違いを感じた。通常版と比較して初稿版の方が進んでは立ち止まり、進んでは立ち止まるというような感じがしてある意味「シューマンらしさ」が出ていると思った。演奏もその点にかなり気を配っていたように感じた。
来年、キュッヒルさんは参加されるのだろうか。できればまた札響と共演してほしい。