二期会オペラ 「魔笛」

 令和3年(2021年)11月6日(土)、札幌文化芸術劇場hitaruで歌劇「魔笛」を観てきた。指揮は来年度から札響正指揮者に就任する川瀬賢太郎、演奏は札幌交響楽団東京二期会のオペラキャラバン公演で山形やまぎんホールと群馬高崎芸術劇場との共催ともなっている。

 

 主な配役は、ザラストロ:大塚博章(バス)、タミーノ:市川浩平(テノール)、夜の女王:安井陽子(ソプラノ)、パミーナ:盛田真央(ソプラノ)、パパゲーノ:萩原潤(バリトン)、パパゲーナ:守谷由香(ソプラノ)、モノスタトス:高橋淳(テノール)だった。演出は宮本亞門。

 

 魔笛はかつてウィーン・フォルクスオーパーで観た記憶があるがほとんど憶えていない。魔笛には有名なアリアが多数有るので時々つまみ食いするようにレコードを聴くことがある。満席での入場が可能になったので客席はほぼ満員だった。

 

 パンフレットによると本公演の演出は、ロールプレイングゲーム(RPG)の「仮想世界」に置き換えた点に大きな特色がある、と書かれている。序曲で家庭内の騒動が描かれ、序曲の最後に仮想世界に飛び込み従来の「魔笛」の世界になる。見慣れた「魔笛」は「仮想世界」となる。様々な試練はRPGのミッションという設定でそれをクリアすると「現実世界」に戻ることができ、家庭内も円く治まる、という演出になっている。

 「仮想世界」はオペラの台本にほぼ沿っていて、奇抜な演出で興醒めすることもなく観劇することができた。場面転換もプロジェクションマッピングを多用していてスムーズだった。

 

 歌唱でよかったのは夜の女王の安井陽子。あの難曲を歌いきった歌唱は見事だった。パパゲーノも「道化役」としてとてもよかったと思う。ザラストロと弁者も重みを感じさせる歌唱だった。タミーノは最初の出だしで少し声が出ていないような気がしたが、直ぐに持ち直した感じでその後は良かった。

  札響と川瀬さんの指揮も呼吸が合っていて歌手をよく支えていた。川瀬さんはオペラも積極的に指揮しているようなのでこのコンビによるオペラもたくさん観られるように期待したい。