第655回札幌交響楽団定期演奏会

 令和5年(2023年)9月9日、10日、第655回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は首席指揮者のマティアス・バーメルト、ピアノはフランス出身のリーズ・ドゥ・ラ・サールで、2022年に予定していた共演が急遽中止になり、今回が初共演となる。

 元札響首席フルート奏者の高橋聖純さんが首席奏者として客演していた。

 開演前のロビーコンサートはフルート2、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1のドゥメルスマン:「ウィリアム・テル」の主題による華麗なる二重奏曲だった。

 

プログラムは、次の通り。

ラヴェルクープランの墓

・ファリャ:スペインの庭の夜

・フランク:交響曲

 1曲目は「クープランの墓」。編成は12-10-8-6-6。ラヴェルが第1次世界大戦で戦死した友人に捧げた曲。木管楽器の多彩な色彩感、特にイングリッシュホルンはとても聴き応えがあった。

 2曲目は「スペインの庭の夜」。編成は14-12-10-8-7。ピアノソロが華々しく活躍するようなピアノ協奏曲の型ではなく、オーケストラにピアノ独特の音色が加わった感じの曲。スペインの宮殿の風景が副題に付いていて色彩豊かな曲をとても鮮やかに表現していた。

 アンコールはシューベルトの「楽に寄す」だった。

 

 3曲目は「交響曲」。編成は2曲目と同じ。オルガン曲で有名なフランクが晩年に作曲した交響曲。第3楽章には各楽章での用いられたテーマが用いられるなどベートーヴェンワーグナーの影響もあるらしい。美しい旋律と広大な音場感もよく表現されていた。第2楽章でのイングリッシュホルンの独奏とハープがとてもよかった。

 あまり馴染みがない曲が多かったせいか聴衆の入りは今ひとつだった。とても良い演奏だっただけに残念。指揮者が手を降ろすまで拍手がないのはとてもよかった。