札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第12回

 令和5年(2023年)3月9日札幌文化芸術劇場hitaruで第12回hitaruシリーズ定期演奏会を聴いてきた。指揮は、バッハ・コレギウム・ジャパンの創設者でバッハ演奏で定評がある鈴木雅明

 プログラムは、

矢代秋雄交響曲(1958)

チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」。

編成は、14-12-10-8-7の対向配置だった。

 

 1曲目は「交響曲(1958)」。プログラムによると1958年に「日フィルシリーズ」のために作曲委嘱企画として作曲された、とある。

「第1楽章は「サロメ」の前奏曲として「何かが起こる前触れ」として書かれている。第2楽章は諧謔的なスケルツォで神楽囃子リズムが使用されている。第3楽章はイングリッシュホルン、アルトフルート、ヴィブラフォンチェレスタなども使われ「機織りリズム」のように聞こえる曲想も出てきた。第4楽章はソナタ形式で神楽や能楽を想起させる笛の音を契機として盛り上がり第1楽章の原動機を壮麗に再現して終わる。」

 あまり曲のことは判らないのでプログラムの解説を要約しておいた。

 

 2曲目は「悲愴」。弦楽器が対向配置、トランペットとトロンボーンを右後方にまとめ、ホルンは左後方に配置していた。弦楽器が拡がり、金管の響きが重なって聞こえ、木管ティンパニイが真ん中から通るように聞こえていたのはとても効果があったと思う。その分、弦の響きが薄くなりバロック風のチャイコフスキーという感じもしないでもなかったが、そこは指揮者の狙い通りなのだろう。

 演奏は「悲愴」という題名に囚われない形式がしっかりとした演奏だった。チャイコフスキーの曲はテンポを変えたる抑揚に変化を付けると「演出過多」になり甘ったるくなることがあるがそれを避けているようにも感じた。最近の演奏の流行かもしれない。

 終了後はチェロ奏者が弓を弦から離し、指揮者が手を下げてから拍手が起きていた。