札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第10回

 令和4年(2022年)8月4日札幌文化芸術劇場hitaruで第10回hitaruシリーズ定期演奏会を聴いてきた。来日が予定されていた首席指揮者のマティアス・バーメルトはスイス国内で新型コロナの陽性判定が出たため来日ができなくなったため下野竜也に変更になった。

 プログラムは、廣瀬量平:北へ(1981札幌創立20周年記念委嘱作品)、ドヴォルジャーク:ヴァイオリン協奏曲、ブラームス交響曲第1番、ヴァイオリン独奏は今年度から札響コンサートマスターに就任した会田莉凡だった。プログラムに変更はなかった。

 編成は、1曲目が12-10-8-6-5、2曲目が12-10-8-6-4、3曲目が14-12-10-8-7だった。

 

 1曲目は「北へ」。札響50周年史の定期演奏会の記録では「ノーシング~北へ」となっているが今回のプログラムでは「北へ」だけになっている。1981年に初演されているがこの演奏会を厚生年金会館で聴いた記憶がある。激しさと穏やかさが交互に表れ、北国のイメージ溢れる曲だった。

 

 2曲目は「ヴァイオリン協奏曲」。ドヴォルジャークの協奏曲はチェロが有名でヴァイオリン協奏曲の方は演奏される機会も少なく、録音も少ない。曲は随所にドヴォルジャークらしいリズムや旋律がある。会田さんのソロもその辺りをとてもよく表現していて指揮者との息もよく合っていた。

 アンコールはバッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番よりラルゴだった。

 

 3曲目は「交響曲第1番」。冒頭から速いテンポで流れていくような演奏で、聴き慣れた重々しい演奏とは対照的な出だしだった。提示部で反復した後は少しテンポを落としたように感じたので冒頭の出だしはそのためなのかとも思った。第2楽章ではややテンポを落とし、ソロパートをよく歌わせるような指揮ぶりだった。第3楽章では弦の強弱をとくに強調していた。第4楽章では金管雄大にならした後、弦の主題をよく歌わせ、コーダでは熱量のある演奏になっていた。札響の熱演を聴いたのは久しぶりのような気がする。

 

 hitaruもとても聴きやすいホールになってきたように思う。以前は真ん中しか聞こえてこないホールだなと感じていたが、高域も低域もよく聴き取れるようになってきた。