札響名曲シリーズ 2022-2023「下野竜也の三大交響曲」

 令和4年(2022年)9月3日、札幌コンサートホールKitaraで首記の札幌名曲シリーズを聴いてきた。

 指揮は下野竜也だった。

プログラムは

シューベルト交響曲(第7番)「未完成」

ベートーヴェン交響曲第5番「運命」

ドヴォルジャーク交響曲第9番「新世界より」だった。編成は14型。

 

 開演前に指揮者のプレトークがあった。シューベルトベートーヴェンドヴォルジャークの3人がどんな人なのか、三大交響曲とは、という話があった。各作曲家に「1足す1は」と訊ねると、シューベルトは深く考え込み、ベートーヴェンははっきりと「2」と答え、ドヴォルジャークは「そんなことよりもっと美しいものがある」と言うだろうと語っていた。

 日本人作曲家の三大交響曲なら黛敏郎「涅槃交響曲」、松村禎三交響曲第1番」、矢代秋雄交響曲」、今の私の三大交響曲ならモーツァルト「ジュピター」、ベートーヴェン「第九」ブルックナー交響曲第9番」とのことだった。

 

 1曲目は「未完成」。札響の未完成は昨年、バーメルトさんの指揮で聴いた深遠な演奏がまだ耳に残っている。この日の演奏はスケールも大きくなく無難な感じに聞こえた。いつもとコントラバスの音が違うなと思っていたら、後列の奏者4人が迫りの上に乗っていた。これからはこの配置になるのだろうか?

 

 2曲目は「運命」。全曲の未完成から引き続き割とあっさりとした演奏に聞こえた。第1楽章のオーボエカデンツァが出てくるのが随分早いなと思ったら提示部の反復がなかった。あまりオーケストラを大きく鳴らすことがなく古典的な枠の中での演奏という印象だった。

 

 3曲目は「新世界より」。前半の2曲よりはスケールの大きさが感じられた。第2楽章の有名なイングリッシュホルンは入団したばかりの浅原さんが担当していた。息継ぎや切れ目を感じさせないレガートな演奏がとてもよかった。それでも全体的にダイナミックさとか表現に淡々とした感じがしたのは否めない。

 

コンサートの日程が混んできてあまりリハーサルをする時間もなくなっているのかもしれない。