令和4年(2022年)8月20日、第22代札幌コンサートホール専属オルガニスト ニコラ・プロカッチーニさんのフェアウェルオルガンリサイタルを聴いてきた。
プログラムは次の通り。
・J・S・バッハ:前奏曲とフーガ BWV548
・シューマン:ペダル・ピアノのためのスケッチ
Ⅰ.速くなく、非常にくっきりと
Ⅱ.速くなく、非常にくっきりと
Ⅲ.生き生きと
Ⅳ.アレグレット
・プロカッチーニ:即興演奏
・ヴィエルヌ:幻想的小品集より
月の光
鬼火
・メシアン:聖霊降臨祭のミサより 第4曲 整体拝領唱「鳥たちと泉」
・フランク:3つのコラールより 第1番
アンコールはフィッシャー:シャコンヌだった。
ニコラさんのコンサートはデビューリサイタルから数えて6回目になる。デビューの時は少し気楽さを感じるようなところもあったが、この日のコンサートは真剣勝負という感じがして一番よかった。
1曲目ではバッハらしい荘厳な響きが聴けた。
2曲目のシューマンもバッハの曲を弾くためのピアノ・ペダルという楽器のために作曲された作品らしい。繊細さと重厚さがよく表現されていた。
3曲目はニコラさんが1年間札幌で経験した自然の移り変わりを音楽にした即興演奏だった。穏やかさとか冬の大雪、春の解放感を表現していた。
4曲目はヴィエルヌの瞑想的な「月の光」と大胆に変化する「鬼火」で神秘的な響きが印象的だった。
5曲目はメシアンの聖霊降臨祭のミサより聖体拝領唱「鳥たちと泉」。宗教的な感じというよりは自然の描写のようでもあった。おそらくパイプオルガンの最高音が響いていたと思う。「ピー」ではなく「シー」という感じだった。
6曲目はフランクの3つのコラールより第1番。専属オルガニストは必ず1枚オルガンCDを作製していく。ニコラさんのCDにはこのフランクの曲が入っている。フランクのオルガン曲はペダルをよく使いバロック期とは違う重厚な響きがする。デビュー当初は様々な曲を器用に弾くオルガニストなのかなと思ったが、一曲一曲にとても感情が入るような演奏になった辺りにニコラさんの1年間の成長を見たような気がした。