第653回札幌交響楽団定期演奏会

 

 令和5年(2023年)5月27日、第653回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は首席指揮者のマティアス・バーメルト。ソプラノは安井陽子、バリトンは甲斐栄次郎、合唱は札響合唱団、札幌放送合唱団、合唱指揮は長内勲、大嶋恵人、中原聡章だった。

プログラムは、次の通り。

メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」序曲、夜想曲

ブラームスドイツ・レクイエム

 

 1曲目は「真夏の夜の夢」。編成は14-12-10-8-7。聴き慣れた曲をバーメルトさんがどのように演奏するか注目していた。一音一音をはっきりとさせ、地に足が着いたような演奏に感じた。

 

 2曲目は「ドイツ・レクイエム」。編成は14-12-10-8-7。ドイツ・レクイエムは3年前の定期で演奏する予定だったがコロナ禍のため演目が変更された。それが今回ようやく上演となった。ドイツ・レクイエムラテン語ではなくルター訳「聖書」から旧約、新約、外典から引用集を作りそれに付曲した、とプログラムに書かれている。7曲からなりソプラノとバリトンの独唱があるが主役は合唱である。

 冒頭からドラマが始まることを予感させる。澄んだ合唱の響きがとても印象的だ。第2曲のダイナミックスも素晴らしかった。合唱はP席で歌っていたため、オーケストラとの分離がよかった。プログラムに載っていた対訳を見ながら聴いていたが、途中から歌詞の内容よりも顔を上げて音楽に集中するようになっていた。曲が終わり、指揮者が手を降ろすまでかなり長い沈黙の「間」があった。演奏する側と聴衆が一体になった演奏会だったことを体感した。