令和4年(2022年)10月22日、23日、2日間に亘って第648回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。
指揮は首席指揮者のマティアス・バーメルト。8月に来日できなかったので、聴くのは5月の645回定期以来となる。チェロ独奏は佐藤晴真。使用しているチェロは宗次コレクションより貸与されたE.ロッカ1903年。また3年ぶりに札響合唱団との共演も果たせた。
ソプラノは安井陽子、メゾソプラノは山下牧子、テノールは櫻田亮、バリトンは甲斐栄次郎。
プログラムは、次の通り。
・メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」
・C.P.E.バッハ:チェロ協奏曲
1曲目は「静かな海と楽しい航海」。編成は12-10-8-6-5。メンデルスゾーンが19歳の時にゲーテの詩を題材して作曲した。プログラムには「不動の海が湛える怖ろしい海の静粛」とか「陸地を目前にした水夫の喜び」といった解説が載っている。全編に亘って航海が成功した幸福感に満ちあふれた曲のようだ。バーメルトの指揮はゆったりとした回想的な演奏に聞えた。
2曲目は「チェロ協奏曲」。編成は8-6-4-3-1。C.P.Eバッハは大バッハの次男でフリードリッヒ大王に30年以上仕えた。メンツェルが描いた「フリードリヒ大王のフルートコンサート」という絵画でチェンバロを弾いているのがC.P.Eバッハだ。
チェロは胴鳴りを響かせるような演奏ではなく、それこそ宮廷の一室で静かに奏でられるような演奏だった。伴奏もそんなソリストに寄り添うように演奏していた。
アンコールはJ・S・バッハ無伴奏チェロ組曲第1番から1日目がサラバンド、2日目がメヌエットⅠ/Ⅱだった。
3曲目は「戦時のミサ」。編成は10-8-6-4-3。プログラムにはハイドンが1796年にロンドンからウィーンに戻り、オーストリアがナポレオンの仏軍と交戦している時に作曲された、と書かれている。終曲の「アニュス・デイ」ではティンパニが多用されているのはそのためだ。
演奏はソリスト、合唱、オーケストラとも祈りと願いを深く表現したものだった。終曲後、指揮者が手を降ろすまで長い静粛の時間があった。ソリストの方々もとてもよかったし、合唱団もマスクをしながらもとてもいい歌唱だった。