2022 オーディオ&シアターフェアinデ・アウネさっぽろ オーディオ試聴会14

◎10月9日(日)

◯ノア 

 スピーカー フランコセルブリン アッコルドエッセンス、プリアンプ ブルメスター035、パワーアンプ ブルメスター 036、アナログプレーヤー Drファイキャルトアナログ ウッドペッカー、トーンアーム クラウディオ ARM-AP12、カートリッジ不明

  • 女声ヴォーカル 

 スピーカーは木の響きをうまく使っている。平行面を作らない。

 美しいヴァイオリンの響き。高域が少しきついか?リニアトラッキングアームなので最内周も歪まない。

 ブルメスターはベンツ、ポルシェ、フェラーリのカーオーディオで採用されている。クオリティコントロールが素晴らしく壊れないからと説明していた。10年以上経っても色褪せない。

  • ジャズ キースジャレット マイソング

 ラックはバッソコンニュオというイタリア製。吸音材はモロというメーカーでカナダ製。

 ヴォーカルは聴きやすいが、音はきつめ。

 奥行きは出る。ピアニッシモもはっきりしている。フォルテッシモはうるさい。スケール感が少し小さい。

 

◯アキュフェーズ

 SACDプレーヤー DP1000+DC1000、プリメインアンプE5000(AB級)とE800(A級)の聴き比べ。スピーカー ソナスファベール オリンピカ ノヴァⅢ、クリーン電源 PS1230。説明は回路設計小山さん。

  • ヴァイオリンとギター ピアソラ タンゴの歴史

 E5000とE800のプリ部分はほぼ同じ。

AB級はバイポーラトランジスター、A級はMOSFETを使用している。熱暴走をMOSはしにくい。MOSの品種は少ない。AB級とA級は部品が違うところで差別化をしているのでAB級をそのままA級にはできない。

 E5000とE800の聴き比べ。

 5000はすっきりはっきり、800は角が丸い感じがする。

 800は少し甘すぎ。比較で言うなら5000の方が解像度は高い。800の方がいいという人の方が多かった。

  • ノラジョーンズ(800で聴く)

 アナログメーターの針はなくなりつつある。

 音はやわらかいが物足りなさも残る。

 アキュフェーズのアンプは担当で音が変わる。5000はクラシックファン、800はオーディオマニアの方が担当した。音作りも担当が決める。

 

◯デノン(途中から)

スピーカー B&W 707、706、705、702S3、デノン PMA900、PMA1700、DCD900

  • チェロの曲 聴きやすい音

 707,706,705と少しずつ良くなっていく。

 アンプをPMA1700に変更。音に厚みが増し女声ヴォーカルは伸びやか。

 702S3に変更。底面バスレフ。スケールが大きい。チェロの胴鳴りも聞える。

 聴きやすい音。スケール感もそれなりにある。

 

◯エソテリック

 スピーカー タンノイ カンタベリーGR、ネットプレーヤー エソテリック N-05XD、パワーアンプ エソテリック S-05。音楽のエネルギーを出すことを目指した。

  • テイク・ファイブ

音が少しきつい。迫力はある。N-05はN-01と同じネット回路でDACチップではなくディスクリート

  • ダイアナクラール ライク・サム・ワン・イン・ラブ

 女声ヴォーカルは生々しい。

 タンノイは1926年に設立。スルーレートという電流を押し出す能力があり通常は500だが、N-05は2000ある。ヘッドフォン回路もプリアンプと同じ回路を使用。

・電圧伝送と電流伝送の比較

 電圧伝送より電流伝送の方が100倍の電流が流れる。長く引き回しても情報量は同じとの説明。

 S-05はA級30Wだが開放感がある音を目指した。

音量が少し大きい。厚みが少し足りないので生々しさに欠けるか?

コンデンサーを8パラレルで充電時間を経ないよう時間差で使用している。

屈託のない音。

  • ダイアナクラール ア・ケース・オブ・ユー

 前に迫ってくる感じはある。

 

ラックスマン

スピーカー フォーカル スカラ ユートピア エボ、ADプレーヤー PD-151MarkⅡ、PD-191A、カートリッジ LMC-5、フォノアンプ EQ-500、CDプレーヤー D-07X、プリアンプ CL-1000、パワーアンプ M-10X、クリーン電源 ES-1200 説明は企画の小島さん。

D-07Xから試聴、ファイル再生。

  • 女声ヴォーカル

 ラックスでは回路をODNFからライフスに一新した。

 ヴァイオリンは聴きやすいが少しきついか?

  • テイク・ファイブ(カバー)

 次にアナログ。従来のアームが製造中止になり、サエクの協力によりアームを新開発した。

  • ジェリーマリガン ミーツ ベン ウェブスターからフゥーズ・ガッタ・リズム

 ここで151と191の比較。カートリッジは共通。191の方が重量感がある。LTA710は10インチで新設計。モーター、電源はターンテーブルとアームから分離している構造。

  • シェヘラザード ライナー シカゴ響

とても聴きやすく屈託がない音。

191はアームの交換が可能で後部にロングアーム用のベースが取り付けられるようになっている。

 

テクニクス

 スピーカー SB-G90M2、SB-C600、レコードプレーヤー SL1200G、ネットワークCDレシーバー SA-C600、プリメインアンプ SU-G700M2

  • ボブジェームス

 SB-C600は内部にサブパネルがありそこにユニットを取り付け前後の重量のバランスを取っている。

  • ミキサーズラボ 角田健一ビッグバンド シェヘラザード
  • スマイル 小川理子 78回転レコード

 1200Gはコギングがない。真鍮とアルミを貼り合わせて「なき」を押さえ、ターンテーブルのバランスを取るために一部を削っている。インシュレーターは亜鉛のダイキャスト。シリコンも吟味。

  • ラッカー盤 井筒香奈江 竹田の子守歌

 ドラムが生々しい。

  • 大瀧詠一 イーチタイムよりペパーミントブルー

 クセがない音。嫌な音は出さない。

 

アクシス

 スピーカー ルーメンホワイト アルタイ、DAC MSBリファレンスDAC、プリアンプ ダゴスティーノ モメンタムHDプロ、パワーアンプ ダゴスティーノ モメンタム M400MxV

 ダゴスティーノはクレルの創始者が設立

 独特の艶があって聴きやすい。サウンドステージが拡がる音を表現している。

  • ハリー コニックJR

 品の良さがある。すっきりした音。

 コントラバスもはっきりしている。上手くまとまっている感じ。

 パイプオルガンの最低音もよく出ている。

  • 女声ヴォーカル

 ピアノの音もいいけど生とも違う美音という感じがする。

 

○ハーマン 

 スピーカー JBL 4309WAL、4349WAL、プリアンプ マークレビンソン №5206、パワーアンプ マークレビンソン №5302、ADプレーヤー №5105、SACDプレーヤー №5105、カートリッジ オルトフォン コントラプンクト レッド

 最初は4309。新しいドライバーにより高域まで伸びるようになった。2WAY。

 音圧が凄い。短時間だけ聴くなら良いかもしれない。

  • 北村英治 スウィングセッション(レコード)

 音の粒立ちがいい。

  • ビッグ・ファット・バンド トラック1(レコード)

 音圧がすごい

 サックスが生々しい

 4349はダブルラジエーターにしている。

 少しうるさく耳に刺激的。

 音圧がすごい

 

◎10月10日(月祝)

○フューレン

 スピーカー ピエガ MLS3、ネットプレーヤー リン クライマックスDS、プリアンプ オクターブ HP700SE、パワーアンプ オクターブ RE320、強化電源 オクターブ スーパーブラックボックス

  • 女声ヴォーカル アメージンググレース

 音が拡がる。リボントゥイーターの後面が開放されている。

  • オルガンと合唱

 伸びやかでとても聴きやすい。

 オーケストラは少しスケールが小さい。

 オクターブのトランスは自社製。

  • ジャズ 角田健一

 普通かな?

  • ギターの曲

 アタック音はそれほど強くない。弾く音はあまり得手ではない。

 オクターブのアンプはスピーカー端子をショートさせてもヒューズが飛ばない。

 持続音はとてもいい。

  • 男声ヴォーカル

 低域はたっぷりと出る

 ヴォーカルは味があっていい。

 

○アッカ

 スピーカー YGアコースティック ヘイリー2.2、プリアンプ クレル イルーション、パワーアンプ クレル ソロ575XD、・プリメインアンプ クレル K-300i、SACDプレーヤー オルフェウス ヘリテージ、トランスポート メルコシンクレッツ(デラ) N10P-H30-J

  • 女声ヴォーカル ワンダフルワールド

 最初はセパレートアンプで試聴。はっきりした音。

 YGアコースティックは上級機も普及機も同じパーツを使用している。振動板にはアルミを使用しているが、アルミの共振(なき)を外したところで鳴らしている。

  • 男声コーラス

 のどを振るわせる感じが良く出ている。YGは1.75KHzと65Hzで切っている。全モデル同じ。位相と周波数は両立しづらい。理詰めで作られたスピーカー。

  • ギターソロ

 アコースティックギターだが金属的な音。

 プリメインに変更。YGのトゥイーターはソフト素材とハード素材の組み合わせで高域を極限まで伸ばしている。

 「アイバイアス」はスピーカーのインピーダンスに合わせて無限にバイアスを調整する回路。

 デラはオーディオ向けのナスの開発をした。

 どうしても楽器の音色を描き分けるのではなく、金属的な響きが全体に被さっているように感じてしまう。

 

○リン

 ADプレーヤー セレクトLP12SE、ネットワークプレーヤー クライマックスDSM/3、モノラルパワーアンプ リン クライマックス ソロ、スピーカー リン クライマックス 350 パッシプ(スピーカーの下にアンスズ使用)

 ネットオーディオはネットの環境があればいい。

  • 女声ヴォーカル

 ネットは様々なフォーマットの音源が聴けるのが利点。

  • メロディ・ガルドー ベイビー・アイム・ア・フール

 アナログレコードに変更。

 アナログの方が少しだが実体感がある。

 スケールが大きな曲も破綻がない

 バーで歌っている。聴衆有り。やはりアナログの方が実体感があるか?

 

○エレクトリ

 スピーカー マジコA5、プリアンプ マッキントッシュ C12000、パワーアンプ マッキントッシュ MC3500、アナログプレーヤー EMT 発売前、フォノアンプ EMT128、DAC マージングテクノロジー ナダック

  • ジェニファー・ウォーンズ フェイマス・ブルー・レインコート 女声ヴォーカル(レコード)

 音が伸びやかで聴きやすい。

 EMTのアナログプレーヤーはこれから発売。バッテリーでターンテーブルを回す。

 プリアンプは二段階で電源部にコントロール部がある。

  • 展覧会の絵 バーバヤガーの小屋 SSリファレンスレコード(菅野沖彦監修)

 低音はよく出る。聴きやすい音。

 ネットに切替え。

  • インストゥルメンツ ブライアン・ブロンバーグ

 弦の弾く音が粗い。

 マージングテクノロジーはプロ用の録音用のDACを作っている。

 マジコは金属製のフレームとエンクロージャ

 ヴォーカルはとてもいい

 データで44.1KHzとDSD2.56の聴き比べ

 あまり音が変わったように思えない。次にアナログレコードをかけた。かなり音の厚みや楽器の質感が違う。

 とてもよかった

 

○トライオード

 スピーカー モニター ゴールド200-5G、CDプレーヤー トライオード TRV-6SE、プリメインアンプ トライオード ムサシ(KT150 100W)、エボルーション

(KT88 40W)、TRZ-300W(300B 20W)、ジュノン845S(22W)

  • 反田恭平 ラ・カンパネラ CD

 エボルーションは電子ボリューム。配線も短くした。

 TRZ-300Wに変更

 ジュノン845Sに変更してテネシーワルツ。音に深みが増した感じ。

 (途中退席)

 

○アキュフェーズ

 スピーカー ソナスファベール オリンピカ ノヴァⅢ、SACDプレーヤー DP1000+DC1000、プリアンプ C3900、パワーアンプ P7500、パワーアンプ A75、クリーン電源 PS1230

 昨日とは違いセパレートの聴き比べ。P7500から

  • マイ・フェイバリット・シングス 演奏家不明

 C3900は性能も音も追求している。プリアンプのノイズレベルを測定限界まで下げている。C2900はそこまで雑音は下げていないがC3900のダウンサイズではない。

 昨日のプリメインと違って音の分離、躍動感が違う。表現力がいい。

 24㏈まではボリューム位置がどこでも雑音レベルは同じ。

 キャビネット付きと外した状態で音が違う。

 甘いながらもしっかりと音が出ている

 DC1000はDACチップ。ディスクリートの研究もしているが性能を出すのが難しい。

 DC950をもう一度新設計し直したのがDC1000。そのうちディスクリートも出てくるかもしれない。

 奥行きは出る。解像度は高い。

 P7500はバイポーラトランジスター、A75はMOSFET。

 P7500とA75の比較。P7500の方が粒立ち立ちがいい。A75の方は音色が統一される感じ。

  • 女声ヴォーカル

 A75の方が甘くやわらかい。P7500は立体感がある。

 どちらがいいか聴いたところ半々だったようだ。

 

 令和4年(2022年)10月9日~10日にデ・アウネ・さっぽろで開催された「オーディオ&シアターフェア」で、実際に試聴した機器と曲を聴きながら書いたメモ書きを文字にした。

 ◎が日付、◯がメーカーあるいは輸入代理店名、●が曲名。メモはしてあるものの改めて調べてみるとどんなアーティストの何という曲かわからないものも多数あった。

 ところどころ「音がきつい」というようなメモもあるが、たまたまそこで聴いた印象でしかなく使いこなしで改善できる範囲内だろう。今回は「オーディオショウ」ではなく即売会も兼ねている催事なので超高級機よりは売れ筋の機器が多かった。

 今年はオーディオ機器の値上げが相次いだ。そんな中でデノン、マランツテクニクスは比較的買いやすい価格での製品を展示していた。その他の国内メーカーでは、まずエソテリックはA級のステレオパワーアンプとネットワークプレーヤーの新製品。

 アキュフェーズは今年50周年を迎え、高級な記念モデルを出す一方でA級とAB級のアンプのラインナップを充実させてきた。

 ラックスはアームの供給先が製造を中止したためアナログプレーヤーも販売が終了していたが、サエクとアームを共同開発し、アナログプレーヤーの新製品を出してきた。少し前にカートリッジも発売しているのでアナログ製品が充実してきている。 

 トライオードは出力管の違いによるプリメインアンプの製品を増やしていた。

 

 海外メーカーはハーマンを除いて相変わらず高級な製品ばかりが目立った。アンプは国内メーカーと競合するが値段を考えるとあまり勝負にならないように感じた。国内メーカーだと100万円台でかなり高級な製品が買えるが、海外製となると500万ぐらいになる。

 アナログ関連ではEMT(エレクトリ)がフォノアンプを出し、アナログプレーヤーも近いうちに発売になるらしい。かつてのEMTのプレーヤーとは打って変わってアルミの削り出しによる薄い筐体になっている。海外製では珍しいS字アームになっている。

 スピーカーは海外製ばかりになってしまっているが、比較的安い値段の製品を出しているのがモニターオーディオ(ナスペック)、ポークオーディオ、B&W(D&M)、JBL(ハーマン)だろうか。近年の傾向としてはYGアコースティック、マジコ、ピエガなど金属素材のフレーム、筐体、振動板を使用したスピーカーが増えてきている。スピーカーの形は以前の「箱」というより「筒」という形状のスピーカーが多くなっている。「筒」形の方が音に拡がりが出て音場感が得られるからという説明を輸入代理店の方から聞いたことがある。こういう催しの会場は広く壁からの距離が遠いのであまり実感はできない。

 CDプレーヤーは、アキュフェーズ、エソテリック、ラックス、トライオード、と国内メーカーは必ず出している。しかし、CDは売れなくなってきているし、SACDが再生できるプレーヤーは高額になってきている。1999年にSACDが出たときには、いずれCDもSACDになるのだろうと思っていた。あれからもう20年以上が経つが結局はならなかった。ソフトは音質でいうとアナログレコード、手軽さでサブスクということになっていくのだろうか。

 今後もオーディオの高級路線は変わらなさそうだ。