札幌交響楽団 hitaruシリーズ新・定期演奏会 第7回

 令和3年(2021年)11月18日札幌文化芸術劇場hitaruで第7回新・定期演奏会を聴いてきた。

 プログラムは外山雄三:ノールショピン交響楽団のためのプレリュード、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザーク交響曲第8番だった。

 指揮は広上淳一、ヴァイオリン独奏は外村理紗(1717年製グァルネリ)。昨年の再開後、譜面台は1人1台だったが、この日からプルトに1台にもどった。平日夜でもほぼ満員の聴衆だった。

 1曲目は「プレリュード」。プログラムによると、ノールショピングはスウェーデンの市でストックホルムから南西に160㎞のところにある。広上は87年にノールショピン交響楽団の首席指揮者に就任し、広上が外山に作曲を依頼したのがこの作品とのこと。広上の故郷である外山の民謡が用いられている。3部に分れていて、弦の高音から始まり、第2部には子守唄、第3部には外山の「こきりこ節」が使われている。

 2曲目は「ヴァイオリン協奏曲」。編成は10-10-8-6-4。この曲でよく聴くのは速めのテンポで技巧的な面を強調するような演奏であることが多い。この日の外村の演奏は、それよりはテンポをやや遅めにして一音一音をはっきりと響かせていた。ツイートでは裸足だったらしく、ヒールを履いて爪先立ちで弾くよりは、足の裏全体で床にしっかりと踏ん張り弓を弦に強く押し当てて弾いていたのかもしれない。胴鳴りの音がとても良く響いていた。オーケストラの編成が比較的小さかったのもヴァイオリンソロの音が埋もれないようにということだったのかもしれない。

 アンコールは、パガニーニ/24のカプリース 第2番 ロ短調 モデラートだった。

 3曲目は「交響曲第8番」。編成は14-12-10-8-7。札響はこの曲をいろいろな指揮者と演奏しているが、どれも良い演奏で比較的得意にしている曲という印象がある。この日も期待に違わない良い演奏だった。トランペットの冴え渡る響き、木管の心地よい響き、弦の透明感などいつも通りの札響らしい響きを楽しむことができた。

 

 hitaruでステージ上のオーケストラを聴くのは7月の札響定期以来となる。各セクションの分離と全体のハーモニーの調和を両方併せ持つような響き方になってきていると感じた。Kitaraも改修後、細部がはっきりと聴き取れるようになってきて、両ホールの響きが良い方向に近づいているような気がした。