チャイコフスキー交響曲第5番 比較試聴

チャイコフスキー交響曲第5番の名盤といえばムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルの演奏が最も定評がある。モノラルもあるしグラモンフォンのステレオとウィーン芸術週間のライブ録音ともう一つライブ録音がある。有名なのはやはりグラモフォン盤だろう。

 ウィーン芸術週間のレコードを聴く前にエリシュカ指揮/札響のCDを聴いてみた。ゆったりとしたテンポで始まり、地に足が付くように響かせながら一つ一つの音が耳に届いてくる。この前にどう鳴っていたか、この先にどう鳴るのかということは気にせず、今ここで鳴っている音を十分に味わえばそれでいい、とでも訴えているいるような演奏である。

 それと比べてムラヴィンスキーレニングラード・フィルの演奏は留まることなくクライマックスに向けて一気に駆け上がっていき興奮を掻き立てるような演奏である。昔はすさまじい演奏に聞こえたけど今改めて聴くと所々雑な箇所もあったりする。

 エリシュカもムラヴィンスキーチャイコフスキーの「甘ったるさ」に流されないようにしながら違う方向に行っている演奏という気がする。