令和3年(2021年)10月24日、第641回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。
当初はハインツ・ホリガーのオーボエと指揮、ソプラノのサラ・ヴェゲナーによる歌曲が予定されていたがコロナ禍の中で来日が叶わず曲目と指揮者が変更になった。
指揮は井上道義、プログラムは、武満徹:グリーン、鳥は星形の庭に降りる、プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」組曲より(井上道義セレクション)。
編成はグリーンとロメオとジュリエットが14-12-10-8-7、鳥は星形の庭に降りるが12型。
1曲目は「グリーン」。プログラムによると、1967年にNHKから委嘱で作曲された曲で、ノヴェンバー・ステップ第2番とする予定が、同曲が高名になったため「グリーン」と改題された、とのこと。弦の繊細さと幽玄な響きが印象的だった。
2曲目は「鳥は星形の庭に降りる」。プログラムによると、武満の自筆スケッチに五角形の庭に小鳥の群れが舞い降りる絵が描かれていたらしく、それらをきっかけに作曲されたらしい。五角形の「5」に因んで、5音音階や5つの音を使うなど、細部まで「5」に拘って作曲されている、とのこと。
マリンバ(木琴)、ヴィヴラフォン(鉄琴)、チェレスタも使われていて武満らしい響きが随所に表れていた。
前半終了後、指揮者の井上さんが札響はもっと武満徹と伊福部昭をもっと演奏すべきだと話されていた。
後半は「ロメオとジュリエット」組曲。プロコフィエフはバレエ全曲から3つの管弦楽用組曲とピアノ独奏組曲1つを作った。
演奏されたのは井上が3つの管弦楽組曲から抜粋した曲で次のようになっている。
1 第2組曲第1曲「モンタギュー家とキャピュレット家」
2 第3組曲第2曲「朝の踊り」
3 第1組曲第6曲「ロメオとジュリエット」
4 第1組曲第2曲「情景」
6 第3組曲第5曲「朝の歌」
8 第1組曲第7曲「タイボルトの死」
9 第2組曲第7曲「ジュリエットの墓の前のロメオ」
プログラムの楽器編成を見て、普段あまり使用されないチェレスタ、ピアノ、ハープ、コントラファゴットが前半でも後半でも使用されていたのでこういうプログラムにしたのかなと感じた。武満をまず演奏して、その時の楽器編成をそのまま生かせるプログラムにしたかったのではと推測する。それだけ拘りをもって選んだプログラムとも云える。
有名な「モンタギュー」から始まり物語の筋に沿うように選曲されていてバレエシーンを思い起こさせるような演奏だった。
弦の厚みを重視したのか、木管や金管が抑え気味で、もう少し響いてもいいように感じたところもあった。また、男女の機微に触れるような繊細さがもっとあってもいいかなとも思った。
録音用のマイクロフォンが何本も立っていたが、エクストロンが録音するためらしい。係の方に訊くと、CDの発売予定があるわけではないが、いつでも発売できるように録音しておくということだった。