オーディオのこと 50(私のオーディオ歴 2011~17)

 11年1月、UTY―7の調子が悪くなったので真空管の交換とオーバーホールを依頼するため上杉研究所に連絡すると、10年12月に上杉佳郎氏が逝去していたことを知った。真空管アンプを使っていると、真空管は○○製がいいとか、トランスはこれだとか、いろいろなことを言ってくる人が後を絶たない。そんな「珍説」に惑わされないよう、正しい方向にオーディオを導いてくれたのが上杉氏の評論だった。オーディオの精神的支柱を失った気がした。

 7月、プリアンプU・BROS-12とパワーアンプUTY―8のオーバーホールをした。それと新たにバイアンプ用として上杉研究所のパワーアンプU・BROS―30MkⅡを購入した。バイアンプにしたいと思ったのは、05年に発売された管球王国37号の上杉佳郎氏のアンプ製作記事に、バイアンプ駆動をするとツゥイーターとウーファーの干渉がなくなるなど音質の向上に効果があるという解説を読んだからだった。その時バイアンプ駆動をする際の接続と調整方法を、上杉研究所を引き継いだ藤原伸夫氏にとても丁寧に教えていただいた。今でもオーディオについて訊きたいことがあるときは藤原さんに訊いている。

 またこの年は使わなくなったオーディオ&ビジュアル機器、アキュフェーズのCDプレーヤー、パイオニアのLDプレーヤー、テクニクスのFMチューナー、三菱のBSチューナー、ビクターの液晶プロジェクターとVHSデッキ、日本盤のレコード、聴かなくなったCDとLD、VHSテープを処分した。結局、ビジュアルも長くは続かなかった。5年ぐらいは観ていたかもしれないがVHSデッキのヘッドが擦り減り交換が必要となった辺りから、フロントプロジェクターとスクリーンでの映像は観なくなっていた。そして輸入盤でアナログレコードを聴くようになると、オーディオシステムはアナログレコード専門になった。CDプレーヤーと映像システムはオーディオシステムから外し、押し入れの中にしまい込んでいた。それらをこの年にすべて処分したのである。今でもあの頃映像に費やしたお金をもっとスピーカーに注ぎ込んでいたらと思うことがある。

 

 13年、たまにはオルトフォンのSPUシリーズ以外のカートリッジも聴いてみようと、フェーズメーションというメーカーから試聴用としてPP―300、PP―1000というステレオカートリッジとPP―Monoというモノラルカートリッジを借りた。試聴した結果、フェーズメーションのステレオカートリッジは音場が前後左右に拡がりながらも厚みがありDレンジも広い音だった。特にPP―1000は上下左右前後に三次元的な音場が広がっていた。PP―300はこの辺りがやや平板で、PP―1000とは値段相応の違いがあった。PP―Monoはモノラル盤からこんな音が出るのかと本当に驚いた。モノラル盤は左右方向に信号がカッティングされているので、左右の振動のみに発電するモノラルカートリッジが一番効率よく発電する。ステレオ盤は左右45度方向に信号がカッティングされているので、ステレオカートリッジは左右45度方向に振動して左右別々の信号を拾って発電するように作られている。ステレオカートリッジは正面からみるとコイル巻枠が「◇」となっているが、モノラルカートリッジは「□」となっている。ステレオ盤では素晴らしい再生音を聴かせたPP―1000でもモノラル盤ではPP―Monoの方が圧倒的によかった。もちろんステレオカートリッジでモノラル盤を再生しても音は出るが、全ての音を拾えていないという感じがする。モノラルカートリッジでモノラル盤を再生するとよりクオリティの高い音で聴けると感じた。またフェーズメーションのカートリッジはオルトフォンと同じように低インピーダンスなので従来のMCトランスがそのまま使えることも都合がよかった。PP―1000の音は良かったが、値段が高く手が届かなかったのでPP―300を購入した。

 

 14年4月、モノラル盤再生用にフェーズメーションのPP―Monoを購入した。PP―300とPP―Monoは高さが同じなのでカートリッジ交換しても高さ調整をしなくて済む。PP―Monoの方が少し重いのだが、カートリッジ交換を楽にするため、鉛テープを張って重さが同じになるように調整した。

 7月、98年からフルトヴェングラーの演奏を全て輸入盤で買い直すと決めてから、こつこつと蒐集してきたフルトヴェングラーコレクションが全て揃った。これまではフルトヴェングラーコレクションのためにかなりの金額をレコードの購入に充ててきたが、これからはオーディオの方にも少し予算を回せるようになった。

 9月、トーレンスのレコードプレーヤーTD―321MkⅡのモーターが故障したので買い直すことにした。一度は無くなるかに見えたアナログプレーヤーだったが、アナログ復活の影響からかいろいろと機種が出ている。しかし、そのほとんどは付属のアームがストレートアームでシェル交換ができないのでカートリッジを頻繁に交換するというわけにはいかなかった。ストレートアームが付属されているプレーヤーを候補から外すと残ったプレーヤーはそんなに多くはなかった。そこでカートリッジ交換が容易なアームとターンテーブルの組み合わせにすることにし、音質、製品の精度、アフターサービスの点からラックスマンPD―171ALに決めた。トーンアームも値段と性能の面からオルトフォン212Sにした。こうして24年振りにレコードプレーヤーを買い替えた。実際に使ってみると今まで使っていたプレーヤーは一体何だったのかと思うほど造りの精度が良くなっていた。重厚な質感、ターンテーブルのスムーズな回転などそれまでのプレーヤーがおもちゃに見えてくるようだった。この加工精度の高さは音にも確実に反映されていてSN比やDレンジ、Fレンジが格段に良くなった。3010Rはヘッドシェルを交換する度に垂直を測り直さなければなかったが、212Sはヘッドシェルの取付け部分がしっかりと嵌るので、ヘッドシェルを交換しても垂直を調整する必要がない。重さを揃えておけばカートリッジ交換はシェルを差し替えるだけで済むようになった。

 またこの年の7月に長年、試聴会を開催していた音楽評論家の方が亡くなった。この試聴会には学生の時から30年通い続けていた。それが縁で遺族の方からCDを千枚ほどいただいた。次こそタンノイのアルニコスピーカーにしてオーディオシステムは完成としたかったのだが、スピーカーを後回しにしてCDプレーヤーを購入することに決めた。当初はSACDとCDが聴ければいいだろうとSACD対応のプレーヤーの中から10万円前後の製品でいいと思っていた。そこでCDプレーヤーをオーディオ店の店頭で見てみると機種が少ないことにまず驚いた。10万円前後の製品となると以前なら、各メーカーから続々と新製品が出ていた価格帯だが、デノンDCD1500、1650、とマランツSA8005と3機種しかない。20万円台になるとマランツSA14S1とヤマハCD―S2100と2機種、30万円台はラックスマンのD―05のみ、40万から50万円台になると高級機メーカーが製品を出しているのでこの価格帯の機種が一番多くなる。マランツSA11S3、ヤマハCD―S3000、エソテリックK―07とK―05、デノンDCD―SX1、ラックスマンD―06u、アキュフェーズDP―550の7機種である。次の価格帯はいきなり100万円ぐらいに飛んで、エソテリックK―01X、K―03X、アキュフェーズDP―720、ラックスマンD―08uの4機種である。この価格帯の機種も考えたが予算的に無理だった。今、音楽ソースの主流はCDからハイレゾといわれるダウンロードかストリーミングによる音楽ソースに移りつつあるので、CDプレーヤーの新製品というのはどのメーカーも出しづらくなっているようだ。音質だけではなく、故障した時のことも考え、保証期間の長さなどアフターサーズが充実しているメーカーの製品にしたいと思っていた。

 12月、デノンDCD―SX1の中古品をオーディオ店から借り、自宅で2週間ほど聴いた。SX―1はオーディオ誌では評論家がこぞって推薦している機種で、試聴会で聴いた時も低音に厚みがありとてもいい音がしていたという印象だったのでかなり期待していた。しかし、自宅で聴いてみるとなかなか評判通りの音が出ない。CDの音質がレコードと差がありすぎて、CDを聴いてみようという気にどうしてもならなかった。2週間ほどでSX―1は返却した。後日、この中古のSX―1を買った方がいて店員さんから聞いた話によると、低音が出ていい音がすると満足そうだった、とのことである。

 

 15年1月、ラックスマンD―06uと比較用に前回借りたSX―1の2台を借りて自宅で試聴した。06uの方がSX―1よりは少しいいという程度だった。50万円台の製品でも思っていたような音が出ないので、もっと下のモデルでSACDが聴ければそれでもいいかと思い、10万、20万円台の製品も見てみたがトレイの出し入れとかスイッチの感触がどうしても劣る。製品としての完成度も考慮して50万円前後の製品から選ぶことにした。

 2月にエソテリックK―05がモデルチェンジしてK―05Xとなった。これを機にオーディオ店の店頭で各メーカーの50万円前後の製品、アキュフェーズDP―550、ラックスマンD―06u、エソテリックK―05X、マランツSA―11S3、デノンDCD―SX1、ヤマハCD―S3000をそれぞれ聴いてみた。このクラスになると店頭での比較では重箱の隅をつつくような差しかないので、優劣をつけるのはかなり難しかったが、音の好みと保証期間の長さからD―06uとK―05Xの2機種に絞った。

 6月、オーディオ店の即売会があり、いつもよりも値引きが利くのでこの機会に買うことにした。いろいろと迷ったがエソテリックK―05Xに決めた。

 CDプレーヤーをオーディオシステムに入れるのは久しぶりだった。以前、使っていたアキュフェーズDP―70Vと比較すると05Xは10kgほど軽い(70Vは約24kg、05Xは約14kg)。70Vは筐体に厚い鉄板が使われるなど非常に造りがしっかりしていたのでとても重かった。05Xは軽いのでそこまで厚い鉄板ではないようだが、つなぎ目が少なく造りはしっかりとしている。エソテリックのCDプレーヤーはCDをターンテーブルに押し付けて回転させるというメカドライブに特徴がある。音にもそれが表れているのか繊細さがよく出ている。弦楽器がギスギスするような悪い意味のデジタル臭さが少ない。これならCDも何とか聴けそうで安心した。

 今度こそ次はスピーカー、それもタンノイのアルニコと思っていたので、これから数年がかりで資金計画を立てようと考えていた。次のスピーカーはタンノイのアルニコと、はっきり意識をするようになったのはバイアンプ用のパワーアンプを買った11年だったろうか。ここまでアンプを揃えたのだから次のスピーカーもそれなりのものにしたかったし、バイアンプ駆動をしたことによりスターリングTWの限界が見えてきた感じにもなっていた。それで早くからオーディオ店の方にも次はタンノイのアルニコと言っていた。

 そんな折、10月にオーディオ店の方からタンノイターンベリー/85LEの中古があると言われた。85LEはターンベリーSEのエンクロージャーにケンジントンのアルニコユニットを取り付けたスピーカーである。中古と言っても85LEは12年末に出たモデルで、保証書を見ると購入は13年2月なので2年半ぐらいしか使っていなかったようだ。タンノイのアルニコスピーカーとなるとかなり高額なので、いつか手が届きそうな価格で中古のケンジントンかDC10Aが出てこないかと思っていたが、まさか限定品が出てくるとは思わなかった。ケンジントンは6月の即売会で聴いていた。85LEはケンジントンと内容積がほぼ同じなので、低音の出方もほぼ同じだろうと思った。値段も何とかなりそうな金額であり、20年使用したスターリングTWも下取りしてくれるということで思い切って買うことにした。85LEも同じタンノイの同軸型スピーカーなのでスターリングTWと見た目はよく似ているが、細部の仕上げとかユニットの造りがかなり良くなっている。

 セッティングの方法も変更した。スターリングTWの時は専用のスピーカー台を使用していて、床から4点支持でラックの中板、その上に4点支持でスピーカー台、その上に4点支持でスピーカーというセッティングだった。4点にしたのはその方が安定しているのではと思っていたからだったが、ガタつきがなくセッティングするというのは実際にやってみるとかなり難しい。0.何ミリという単位でセッティングしないとガタはなくならないからだ。それに引き換え3点支持では平面が簡単にとれる。この点について上杉研究所の方に相談したところ、平面が取れるということと音質の点から3点支持の方がいいとアドバイスをいただいた。ただし、3点支持では万が一地震などが来ると倒れやすくなるので、その点は自己責任でということだった。それで85LEのセッティングは、床から3点支持でオーディオ専用ボード、その上に3点支持でスピーカーというセッティングにした。

 音を聴いてみると、やはりオーディオはスピーカーだと実感した。まずピアニッシモが余韻をもってきれいに響く。奥行きもありながら前に出てくるところは出てくるので、前後左右に音場が広がり自然な響きになる。楽音に妙な付帯音がまとわりつかない。高域は澄み、低音もあいまいさがなく軽い躍動感も出てきて音程もはっきりとするようになった。今までも何度かスピーカーを替えてきたがこんなに音が変わるとは思わなかった。前のスピーカーとは格の違いを感じた。オーディオ専用ボードと3点支持にしたことも効果があったようだ。床の振動が抑えられSN比がよく、すっきりとした音になった。

 11月、北海道オーディオショウがあり、2日間、できるだけ様々な機種を聴いて回った。自分が使っている機器についてメーカーの方から直接話が聴けるのもこのような催しの楽しみの一つでもある。カートリッジメーカーのフェーズメーションの方に前から疑問に思っていたことを訊いてみた。フェーズメーションのカートリッジにはヘッドシェルに留めるための鉄製のビスとナットが入っているが、磁性体の鉄を磁力が強いカートリッジを留めるために使用しても音に影響はないのかということと、ナットの形状がしっかりと締め付けるようになっていなくて締めづらいのでいい方法はないか、と質問した。それに対してメーカーの方は、鉄製のビスとナットでも音に影響はない、それとナットは締めすぎないようわざとそのような形状にしている、という回答だった。

 それまでカートリッジは非磁性体の真鍮製のビスとナットできつく締めていたが、メーカーの方の言う通り、早速、その日にカートリッジのビスとナットを付属の鉄製に付け替えた。それと、スピーカーを取り替えたことにより、アナログレコードの音が少し粗いのではないかと感じてきたので調整し直すことにした。細かい調整をするために、ノアで輸入しているドクトル・ファイキャルト・アナログというドイツのメーカーからプロトラクターNGという器具を購入した。これはアームの取付け位置、オーバーハング、オフセットアングルの正確な調整ができるというものである。今までオーバーハングは何度も測り直したが、オフセットアングルは全く調整していなかった。なぜならカートリッジをヘッドシェルの先端が平行になるように取り付けておけば、アームのオフセットアングルになるので、わざわざ測ることはないと思っていたからである。今回は念のため両方とも測り直そうと思った。するとオーバーハングは問題なかったが、オフセットアングルはスピンドル側からみて少し外側に向いていたのである。これを調整するとヘッドシェルに対して少し内側にカートリッジを向けることになるが、取扱い説明書によると、それはアームの想定するジオメトリー(基準ポイント同士の設計時点での位置関係)とプロトラクターで調整したジオメトリーが違うので異常ではない、と書かれている。そこでプロトラクターのジオメトリーに合わせるため、カートリッジの外側を少し前に出すように内側に傾け、内側に対して外側が1mmぐらい前に出ている格好になった。それでレコードを聴いてみると弦楽器の澄み切った高域と低弦の地を這うような低域が聴こえてきた。音場も前後左右に拡がった。この程度の調整でこんなに音が変わるのかと驚いた次第である。つくづくアナログは奥が深いと思った。

 

 16年10月、スピーカーを取り替えてこれで終わりかと思っていたが、機器を取りそろえたら次はセッティングの必要を感じた。スピーカーの下にオーディオボードを敷いて効果があったので他の機器、とりわけレコードプレーヤーの下にオーディオボードを敷くことを考えた。オーディオ店に行くと、ウエブ記事で話題になっていた特許機器というメーカーの「ウインド・ベル」という製品が展示してあったのを見つけ、借りて試聴させてもらうことにした。早速、レコードプレーヤーの下に置いてみるととても効果があった。これはただものではないと思い、全ての機器の下に敷くことにした。レコードのスタビライザーもあり、試聴してみると余計な振動がなくなり楽音がとてもリアルになった。

 ウインド・ベルというのはスリーブという風鈴の様なものをバネに被せたインシュレーターで、振動を遮断すると共に振動を逃がす効果も持っている。いままでいろいろとスタビライザーを使用してきたが、音はしっかりしてもスタビライザーの音が再生音に乗ることがあるため使用は控えていたが、ウインド・ベルのスタビライザーは振動を風鈴効果で逃がしているためか、再生音に濁りがなくなるようだ。

 11月、カートリッジPP-300のカンチレバーが少し曲がっていることが気になっていた。針先を掃除するうちに気づかないうちに引っかけて曲げてしまったのかと思っていた。北海道オーディオショウでフェーズメーションの方に相談してみると調整し直してあげますと言ってくれた。次の日にそのカートリッジを持って行くと、メーカーの方が言うにはインサイドフォースキャンセラーの関係で曲がることがあるとのことだった。フェーズメーションのブースで使用しているアームを見るとインサイドフォースキャンセラーは外してある。メーカーの方の説明では「アームの感度やカートリッジにも寄るが内周で歪まなければインサイドフォースキャンセラーはゼロでよく、内周で歪むようだと0.5gぐらいかければいい。ゼロにした方が音は伸びやかになる。カートリッジの針先はレコードの溝の中でグルグル回っているようなものなので外側に力をかける必要はない。」ということだった。

 トーンアームの取扱説明書を見るとインサイドフォースキャンセラーは針圧と同じ値にすると書かれているが、オフセット角があるアームは針圧と同じインサイドフォースが働くというのは違うのだろう。このことは2017年3月に刊行された季刊ステレオサウンド202号「アナログレコード再生のためのセッティング術」でオーディオ評論家の柳沢功力氏が解説している。

 

 17年1月、MCカートリッジのバランス伝送をするためMCトランスを買替えることにした。25年愛用してきた上杉研究所のMCトランスU・BRОS―5Lに替えて、バランス入力があるフェーズメーションのT500というMCトランスとバランス接続ができるフォノケーブルを購入した。周波数レンジが少し拡がりSN比も良くなった。

 10月、レコードプレーヤー、スピーカーをグレードアップしていくと次第にカートリッジの役不足感が出てきた。オーディオはどうしても弱いところの音が出てしまう。しかし、PP―300からのグレードアップとなるとPP―1000は320,000円(税別)、PP―2000は440,000円(税別)と高額でなかなか買えない。そんなときに新製品としてPP―500が220,000円(税別)という価格で出た。もし上級機と音の差がそれほどなければPP―500にしたいと考えた。オーディオ店で試聴会があり、PP―2000、PP―1000、PP―500の聴き比べをしたところ多少の差はあるけれども値段ほどではないという印象だった。その後オーディオショウで聴いたときはPP―2000は奥行き感が出て、PP―500は音像が前に出てくるという感じで音の傾向が違うのかなという程度だった。

 フェーズメーションの上級モデルを購入することに決め自宅で試聴することにした。フェーズメーションではメーカーが試聴品を貸し出してくれるのでPP―500の試聴を申し込んだ。するとPP―500と一緒にPP―2000も一緒に貸してくれた。せっかくなのでPP―2000とPP―500を聴き比べてみるとそれまで試聴会で聴いた印象とは違い、接続して最初に音を聴いた瞬間に違いが判るほど圧倒的にPP―2000の方が良かった。PP―500は平面的でやや音が硬く、PP―2000は音場感が立体的で質感もよかった。これはPP―2000を使用するしかないと決め、かなり無理をして購入した。