令和4年(2022年)12月10日、札幌コンサートホールKitaraで札響の第九を聴いてきた。
指揮は広上淳一、独唱は、ソプラノ:秦 茂子、メゾソプラノ:清水 香澄、テノール:吉田 浩之、バス:妻屋 秀和。合唱は札響合唱団。
プログラムはワーグナー:ジークフリート牧歌、ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」だった。編成は14型。
1曲目はジークフリート牧歌。弦の響きがとても繊細でやわらかく弦のセクションがとてもよく重なり合っていた。
2曲目は第九。第1楽章冒頭から力強く活き活きとした演奏になると予感させてくれた。合唱の人数がまだ十全ではないためなのか金管や打楽器の音はやや抑え気味に聞こえたが、弦楽器のうねりがそれに取って代わるように押し寄せてくる。
第2楽章のスケルツォでもティンパニはやや抑え気味で全体のバランスと内声部を重視しているように感じた。
第3楽章のアダージョ各セクションに主題が移行するのがわかりやすくならしていた。この楽章は寝ている聴衆もわりといるがこの日は少なかったような気がする。それだけ緊張感のある演奏だったのだろう。
第4楽章に入る前に独唱と合唱団とパーカッション、ピッコロが入場してきた。やはり合唱団の数が少ないのか冒頭の音量はやや抑え気味に始まった。しかし、歓喜の主題が入るところは小さすぎずはっきりと聴き取れるように演奏していた。
合唱は人数が少ないながらも声量不足は感じなかった。透明な歌声は札響とよく合っていた。ソリストも聴き応え十分な歌唱だった。
聴き慣れた第九を、奇を衒うことなくマンネリ化せずに飽きさせない充実した演奏だった。来年は合唱の人数がコロナ前に戻ることを期待したい。