札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第11回

 令和4年(2022年)12月15日札幌文化芸術劇場hitaruで第11回hitaruシリーズ定期演奏会を聴いてきた。指揮は今年度から札響正指揮者に就任した川瀬賢太郎。サクソフォンは上野耕平、ピアノは山中惇史、パーカッションは石若駿だった。

 プログラムは、ニールセン:フェロー諸島への幻想の旅、吉松隆:サイバーバード協奏曲、メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」だった。

編成は、1曲目と3曲目が14型、2曲目が12型だった。

 

 1曲目は「フォロー諸島」。今回が札響の初演となる。プログラムによると曲の進行に合わせ、「穏やかな海」、「到着地」、「踊りと歌」、「別れ」、「海での穏やかさ」という5つの副題が記されているという。それぞれの情景がイメージできるような演奏だったと思う。

 

 2曲目は「サイバーバード」。「サイバーバード」とは「電脳空間を飛翔する架空の鳥」のことらしい。サクソフォンが主役の協奏曲で鳥がはばたくことを想像したりしながら聴いていたが、サクソフォンの超絶技巧曲という感じもした。

 アンコールは共演者による「ロンドンデリーの歌」だった。

 

 3曲目は「スコットランド」。第3番となっているが、事実上最後の交響曲となっている。果して川瀬さんがどのような演奏をするのか興味があった。うまくまとめてはいるが、スケール感が不足気味な感じがしたのは否めない。

 札幌正指揮者になる前にも川瀬さんの指揮は何度か聴いていて、オーケストラを鳴らすのが上手いという印象があった。しかし、正指揮者になってからはうまくまとめてはいるが、スケールの大きさが失われたように感じる。このスコットランドも、もう少しフルオーケストラらしい音場の拡がりが欲しかった。