神奈川フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会

 令和2年(2020年)11月21日、横浜みなとみらいホールで神奈川フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は常任指揮者の川瀬賢太郎、ヴァイオリン・ソロは石田泰尚、崎谷直人、小宮直、直江智沙子だった。

 プログラムはコープランド/市民のためのファンファーレ、ハイドン交響曲第50番、ヴィヴァルディ/4本のヴァイオリンのための協奏曲、チャイコフスキー交響曲第5番だった。

 神奈川フィルは昨年のサマーフェスタミューザでやはり川瀬賢太郎指揮で「三角帽子」などを聴いている。川瀬さんは昨年、11月札響定期をKitaraストコフスキー編曲の「展覧会の絵」などを聴いている。2度聴いて川瀬さんはオーケストラを鳴らしきることが上手な指揮者というイメージがあった。そして今年は9月に札響名曲シリーズを指揮している。その時もオーケストラを鳴らしきる川瀬さんのイメージ通りの指揮だった。それで今回は本拠地横浜みなとみらいホールで手兵神奈川フィルではどんな演奏をするのか興味があった。座席は1階16列の中央付近。

 神奈川フィルの50周年の特別演奏会のオープニングということから1曲目は市民のためのファンファーレ。金管セクションが勢揃いして伸びやかな金管が聴けた。

 2曲目は交響曲第50番。編成は8-6-4-4-3。50番は初めて聴く曲だが、果してどのように指揮するのだろうと思って聴いた。こういう曲は速めにあっさりと演奏するのかと思っていたが、形式をしっかりと押さえた充実した演奏だった。

 3曲目は4本の協奏曲。神奈川フィルが誇るコンサートマスターと首席奏者のソロによる演奏。伴奏は少人数で全員が立ったままの演奏だった。石田コンマスのヴァイオリンが冴える。

 4曲目はチャイコフスキー交響曲第5番。川瀬&神奈川フィルの特別演奏会に相応しい熱演だった。

 冒頭のクラリネットは見事だが少し音量が大きい。その後に出てくるフォルテッシモは今ひとつ音量が盛り上がらない。ソロははっきりと聞こえてくるが全奏となるとスケール感が小さい。

 これは楽器が増えていくごとに足し算されていくのではなく、増える楽器もあれば聞こえにくくなる楽器もあるという感じだ。管楽器と弦楽器が掛け合いながら、一気に全奏になると効果的なのだが、どちらか一方に偏って聞こえる。おそらく定在波で相殺されるためではないかと推測するがあくまでも推測。

 神奈川フィルは昨年、ミューザ川崎で聴いたときは高域が澄んだ響きの弦という感じだったが、むしろ中域が充実していると感じた。

 客席に聞こえてくる音は少し物足りなかったが見ていて50周年に相応しい熱演であることは十分に感じ取れた。