第650回札幌交響楽団定期演奏会

 令和5年(2023年)2月4日、5日、2日間に亘って第650回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は首席指揮者マティアス・バーメルト。フルート独奏はウィーン・フィルのソロ・フルート奏者であるカール=ハインツ・シュッツ。ハープ独奏は吉野直子

プログラムは、次の通り。

武満徹:雨ぞふる

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲

シューベルト交響曲「ザ・クレイト」

 

 1曲目は「雨ぞふる」。各セクションから1人ずつの奏者による演奏。各旋律の色彩的変奏は雨が運ぶ水の循環を表しているらしい。バーメルトもその辺りの表現を丁寧に浮かび上がらせるようにしていたと思う。

 

 2曲目は「フルートとハープのための協奏曲」。編成は10-8-6-4-3。モーツァルトの曲はレコードと違ってコンサートで聴くとあまり聴き映えがしないことがあるが、今回のコンサートはそんな心配はなかった。モーツァルトの軽妙さと愉悦がとてもよく表現されていた。2人のソリストもとてもすばらしく、とくにシュッツのソロフルートの低音から高音までの表現力は見事だった。

 アンコールはイベール/間奏曲だった。

 

 3曲目は「ザ・グレート」。編成は14-12-10-8-7。シューベルトの曲は繰り返しが多く「並」の演奏では「またか」と退屈気味になることがある。そのため緊張感が途切れないように演奏する「難しさ」がシューベルトの曲にはあるように感じている。今回の定期演奏会では緊張感が途切れることなく、「難しさ」を演奏しきっていたと思う。そのため金管を突出させて演奏させるようなことはせず全体のまとまりを重視した演奏に感じた。1日目はやや細かいミスもないではなかったが2日目は完璧に近かった。できればこの演奏はCDで発売して欲しかったが録音はされていないようだ。

  バーメルトは「ザ・グレイト」は諳譜で指揮をしていた。以前は諳譜はそれほど珍しくなかったが、最近は珍しくなった。

 アンコールはシューベルト/「ロザムンデ」バレエ音楽1番より だった。