札幌交響楽団 hitaruシリーズ定期演奏会 第16回

 令和6年(2024年)2月8日札幌文化芸術劇場hitaruで第16回hitaruシリーズ定期演奏会を聴いてきた。指揮は、友情指揮者の広上淳一、ピアノ独奏は伊藤恵だった。

 プログラムは、

伊福部昭:土俗的三連画

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番

ベートーヴェン交響曲第6番「田園」

 

 1曲目は「土足的三連画」。編成は2-2-2-2-2。伊福部が生まれた道東の厚岸の風景などを曲にしたらしい。

 2曲目は「ピアノ協奏曲第20番」。編成は12-10-8-6-4。流麗でしなやかなモーツァルトだった。多彩な音色を表現しながら全体の構成から外れることがないバランスがとても見事だった。

 3曲目は「交響曲第6番」。編成は14-12-10-8-7。ベートーヴェンでもモーツァルトで見せたバランスが生きている。札響の田園で印象に残っているのは2018年2月3日の名曲シリーズでポンマー指揮の演奏。重厚さとスケールの大きな田園だった。広上さんの指揮はより求心的な中身の詰まった響きという印象だった。聴き慣れた曲をここで音楽が生成していくように聴けたのは広上さんの指揮に札響がよく応えている証だろう。

 終演後のトークで「札響は世界に通用する楽団」という趣旨の話もされていたが、半分は社交辞令だろうが半分は当たっているかもしれない。2011年頃から札響を再び聴き始め、以前に比べて随分と上手くなったと感心していたが、今はもうそんなことも通り越して期待以上の演奏を常にできるようになっている。来シーズンの札響の演奏も楽しみだ。