オーディオのこと 31(音を良くする)

 前のブログで今、使用しているプリアンプから新しいアンプにするとここが変わるということを書いた。それをもう一度再掲してみる。

「使用しているアンプから新しいアンプにすると、

 ①電源が左右独立になる

 ②増幅段の真空管が左右に分れる

 ③ボリュームが左右独立になりクロストークとギャングエラーが低減する

 ④信号経路が短くなる

 ⑤バランスコントールのボリューム接点がなくなる」

 これらはプリアンプ内部のことだが、この「分ける」、「信号経路を短くする」、「接点を少なくする」というのはオーディオで音を良くする基本と言ってもいい。この中で①、②、③は「分ける」ということだがこれは高級機によく見られる。

 例えばCDプレーヤー。高級機になるとCDからデジタル信号を読み取るトランスポートと読み取ったデジタル信号をアナログ信号に変換するDAコンバーター(通称DAC)にCDプレーヤーがありセパレートタイプと呼ばれる。エソテリックの最高級CDプレーヤーはトランスポートと電源とDACに分け、DACも左右に分けるという徹底振りで合計4筐体となっている。

アンプもプリメインアンプの音を良くしようとすると、扱う電圧が違うプリアンプとメインアンプに分けるセパレートアンプになる。

 話が少し逸れるが「プリメインアンプ」は文字通り「プリアンプ」と「メインアンプ」を一体にした呼び方で、他に「一体型」という意味で「インテグレーテッドアンプ」という言い方もある。プリアンプはボリューム、入力セレクター、トーンコントロールなどがあることから「コントロールアンプ」という言い方をするときもある。フォノイコライザーアンプが内蔵されていない場合は「ラインアンプ」という言い方もある。「メインアンプ」という言い方は最近、あまり使われなくなり「パワーアンプ」という方がよく使われるようになっている。

 話を元にもどす。通常アンプは左右から別々の信号を出す2チャンネルのステレオだが、これを左右に分けるとモノラルアンプとなり2筐体となる。高級なモノラルアンプともなると1台50㎏ほどの鉄の塊が部屋の中に2つということになる。

 スピーカーも一つのユニットで済めばそれに越したことはないが、音楽の帯域を全てカバーできるユニットはないので、それぞれの周波数に合わせた複数のユニットでスピーカーシステムを構築することになる。これもそれぞれのユニットを一台ずつ違うアンプで駆動するマルチアンプにするといい。

 しかし、それでは部屋の中がアンプだらけになるので普通は、ネットワークで帯域を分割して1台のアンプで駆動する。最近は高域部と低域部を分けたバイワイヤリング対応のスピーカーも増えてきている。こういうスピーカーはバイアンプ駆動をすると高域と低域のユニット間の干渉を減らすことができるので音に有効である。これもステレオアンプが2台必要になり、モノラルアンプだと4筐体となる。

 低音を出すためにサブウーファーを、高域を出すためにスーパートゥイーターをそれぞれ追加するとユニットも増えていく。

機器の内部でいろいろと分けていくと部品の数も増えていくので高級機の内部はびっしりと部品が詰まっている。そして、よりよい音を求めて高級品にしていくと次第に筐体が分れていってシステムを構成する機器の数が増えていく。そのため高級オーディオシステムは大がかりになり機器の数もたくさん増えていくのである。

 

 一方でこれとは逆の動きもある。最近は100万円ぐらいの高級プリメインアンプも増えてきているし、ネットワークオーディオを含めたプレーヤーとアンプを一体にした製品も増えている。音質についてのメリットは最初に再掲した④信号経路が短くなる、⑤接点が少なくなるというメリットがある。筐体を別にしてケーブルで接続するよりも内部で接続した方が短くなるのは当然だし、ケーブルで接続する接点も少なくなる。これは当然音質的なメリットになる。低い電圧が通っているケーブルを長く引き回すのは音にあまりいいものではないし、余計な接点はない方がいい。それとあまり大げさなシステムにはしたくないけどいい音は聴きたいというユーザーにはとても都合がいいのだろう。ネットワークオーディオもそういう人たちに支持されていく感じがする。