令和4年(2022年)3月17日、Kitara小ホールで首記コンサートを聴いてきた。当初は、令和3年9月18日の予定だったが、コロナ禍の中、緊急事態宣言の延長によりこの日に延期された。
安永徹は1983年から2009年までベルリン・フィルのコンサートマスターを務めていた。ピアニストの市野あゆみとのデュオコンサートを昨年聴いている。札響からは首席ヴィオラ奏者の廣狩亮と首席チェロ奏者の石川祐支、九響からは首席第二ヴァイオリン奏者の山下大樹だった。
プログラムは次の通り。
1曲目は「ピアノ三重奏曲」。ラヴェルの出身地であるバスク地方への郷愁が込められて類と解説に書かれている。不規則な拍子や不明朗な調性が随所にみられる。技巧的に難しい曲をとても緊張感を持って演奏していた。
2曲目は「弦楽四重奏」。ヴェーベルンはシェーンベルク、ベルクと共に無調と十二音技法による作品を発表して新ウィーン楽派を築き上げたと解説に書かれている。4人で一つの音楽を構築するというよりは各奏者が主張をそれぞれぶつけ合うという感じだった。
3曲目は「ピアノ五重奏曲」。休憩を挟んで前半とは違い、5人の奏者がお互いに緊張感を持ちながら全体の音楽を形作っていく様子が窺えた。まるで5人で演奏する交響曲のように内部からの激しい情熱が感じられる演奏だった。