第657回札幌交響楽団定期演奏会

令和5年(2023年)11月11日、12日、第657回札幌交響楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

 指揮は来年度から首席客演指揮者となる下野竜也。ソプラノは石橋栄実。当初の予定ではヴァーグナー(ヘンツェ編):ヴェーゼンドンクの歌を池田香織メゾソプラノ)が歌う予定だったが、病気療養中のため出演が叶わず曲目と歌手が変更になった。

開演前のロビーコンサートは第1ヴァイオリン奏者の河邊俊和でイザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番だった。

 

プログラムは、次の通り。

・ベルク:7つの初期の歌

     Ⅰ:夜、Ⅱ:葦の歌、Ⅲ:ナイチンゲール、Ⅳ:夢の冠、Ⅴ:部屋で、Ⅵ:愛の賛歌、Ⅶ:夏の日

マーラー交響曲第7番「夜の歌」

 

 1曲目は「7つの初期の歌」。編成は両翼配置の10-8-6-4-4。今回が札響初演。作曲家のアルバン・ベルクシェーンベルクの弟子だった。ベルクはドイツ・リートの影響下多数の曲を作曲していた。石橋さんの声は滑らかで表情も豊かだった。

 

 2曲目は「交響曲第7番」。編成は両翼配置の14-12-11-8-7。冴え渡る金管楽器の導入部がホールに響き、弦楽器が厚みを持って押し寄せる。その中を木管楽器が突き抜けるように聞えてくる。これこそマーラー交響曲だと実感できる音に包まれながら、普段はあまり馴染みがない曲にも関わらず、最後まで聴き通すことができた。2日間とも聴くことができてとてもよかった。

 この曲には「夜の歌」とあるとおりセレナードなどにも使われるマンドリン、ギターも使われている。それがオーケストラの音にかき消されずに聞えてくるのはKitaraホールの音響の良さだろう。ホールによっては聞えにくいコントラバスファゴットなど弾いているのは見えるのに音がさっぱり聞えてこないというホールも珍しくない。楽器が重なる箇所でもある音が聞えても違うが音加わるとそれまでの音が聞えなくなるということがなく、音が足し算されて音響に厚みが増していく。そういうKitaraホールの特長が、マーラー交響曲を聴いたという実感を味わえたことにつながったと感じた。